噺家と歩く「江戸・東京」/こだわり落語散歩ガイド 長井好弘 アスペクト 2010年03月10日 第1版第1刷発行 191頁 |
12年も前の取材なので、街歩きの指南書としては普通は役に立たないかもしれませんが、なにしろ扱っているのが落語散歩ガイドです。落語の噺にちなんだコースを、ちなんだ噺家と一緒に、長井好弘さんが歩くのですから、今読んでもそりゃ面白い。
この本を片手に紹介されたコースに出かけてみても面白しろいだけでなく、読み物としても絶品です。長井さんと噺家との与太話みたいな掛け合いを楽しみながら、のんびり読めました。
目次と散歩コース
一、五街道雲助
「明烏」と浅草散歩(浅草寺雷門~吉原)
二、古今亭志ん輔
「品川心中」と品川散歩(品川駅~荏原神社)
三、柳亭市馬
「転宅」と人形町散歩(人形町交差点~明治座)
四、柳家喬太郎
「結石移動症」と池袋散歩(池袋演芸場~池袋駅東口)
五、柳家三三
「文七元結」と隅田川散歩(吾妻橋~言問橋~吾妻橋)
六、春風亭一之輔
「茶の湯」と根岸散歩(鶯谷駅~根岸)
あとがき
それぞれの章ごとに、取り上げた噺のあらすじと噺家の説明と回るコースの略地図が出ている。章立ての扉や文中にも噺家の写真が見られる。その服装に違和感を覚えます。年齢が上であるほど、昭和の塾帰りみたいな感じ。テレビでお笑い芸人が食レポやっている姿とのズレ。三三さんから一之輔さんあたりは違うかな。12年前だし。
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五街道雲助さんの本家が土手の伊勢屋さん。ご実家は本所で
実家は爆弾あられ、そば屋、寿司屋、天麩羅屋、おでん屋といろんな事をやってましたですね
だそうです。江戸の風が吹いていると談志が評したというのもうなずけます。飄々と歩く浅草がよかったです。
五街道雲助、古今亭志ん輔、柳亭市馬、柳家喬太郎、柳家三三、春風亭一之輔とこうして並べてみると、ひとつの傾向がありますね。一之輔さんと長井さんとのつきあいを読むにつけ、一之輔さんの出世するわけが理解できたみたいです。賢いし、それだけじゃない気の配り用もあるし。ごぼう抜きで昇進したというのもわかる気がします。もっとも、長井さんと馬のあうやり取りを読んでいると、心地いいところが(この記事での)魅力です。
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