本と幸せ/自作朗読CD付き 北村薫 新潮社 2019年09月25日 発行 316頁 |
「作家生活30周年」だそうで。あれもこれものてんこ盛り。
近況がわかるエッセイ、高校時代のショートショート作品、自選短篇ベスト12発表、自作朗読CDを付す記念本
って、いったいなんだ? と疑問がわく内容。北村薫ファンにとっては垂涎ですよ。自作朗読CDまで付いているのだから。けれども、本書を説明するには一筋縄ではいかない。なんでもあり。
秘蔵の初創作、高校生のショートショート7篇、自選短篇ベスト12発表、全著作リストも収録。作家生活30周年記念愛蔵版。本を読む喜びを感じてください。
こりゃあ、すごいよ。北村薫ファン・北村薫マニアが、じっくりページをめくる本です。花ぎれが金色に輝いている! なあんて、本好きにはたまらない。たしかに愛蔵版だ。興味のない人には、なんのことやらだろう。
新潮社サイトには、いつもの詳しい目次が用意されている。リンク、こちら。
冒頭が、サイトのページを見てもわかりにくかったので、ちょっと説明を。
P8~
今年の本と出来事(2000~2018)「活字倶楽部」作家アンケート
Q1...今年読んで印象に残っている本は?
Q2...今年の出来事で印象に残っている事は?
Q3...翌年のお仕事の予定を教えてください
P24
「活字倶楽部」「かつくら」「Katsukura」二〇〇〇年冬号~二〇一一年冬号、二〇一二年冬号~二〇一三年冬号、二〇一四年冬号~二〇一八年冬号
「活字倶楽部」「かつくら」「Katsukura」という雑誌、うっかりしていた。誌名が変わっている。「活字倶楽部」は、漫画情報誌『ぱふ』に掲載されていたコーナーだという。なんともなつかしい誌名が飛び出してきて、驚いた。
P25~
マイベスト3/好きな短篇ミステリ三作/好きなポケミス三冊
「ハヤカワ・ミステリマガジン」2011年3月号、2013年11月号
P28~
「考える人」作家アンケート
海外の長篇小説 ベスト10〈2008年春号〉/老年をめぐる私のおすすめ本3冊〈2010年冬号〉/眠れぬ夜の本 マイ・ベスト3〈2013年冬号〉/漱石 私のベスト3〈2016年夏号〉
P32~
北村薫の読まずにはいられない
「なごみ」2010年1月号~2011年12月号 24回連枝
以下略
「本を読む喜びを感じ」るエッセイがあふれている。
ページの間隔をおいて繰り返し出て来たことに、「歌舞伎」があった。当時(東京オリンピック前あたりか)は、人々の共通認識として歌舞伎があったというのだ。たとえていうなら「ギリシア神話」とも。ラジオで流れていた落語をつうじて歌舞伎が知られていたのだという。このあたりの事情、ぎりぎり感じられるのかもしれない。
幼い頃から学生時代までの本にまつわる思い出ばなし、読んでいていほっとする。
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巻末の「高校生のショートショート」、読んでいてこっちが気恥ずかしくなってしまった。似たようなことをやったものだ。いえ、友人がです。
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