本の雑誌2020年12月号 年の瀬どんでん号 特集=45周年&450号記念号 |
『本の雑誌』が45周年。どうしたって、自分のこれまでと比較してしまう。知人いわく、「生協(の書籍売場)に並んでいたよ」という創刊号は知らない。見てはいたとしても、記憶にない。実際に購入を始めたのは何号か経ってからのこと。季刊誌とうたっていても、いつ出るのかまったくわからず、手に入れるのに苦労をした。それ以来、はや40年以上の年月が経っているというのか。
巻末の「本の雑誌社が四十五年間に刊行した単行本と別冊・増刊号」のリストがいい。見ていると、80年代に買った本が多いことに気がついた。
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広告から
P29
『暗がりで本を読む』徳永圭子、本の雑誌社、四六版仮フランス装208頁
この本について、知らなかった。
P52
新刊めったくたガイド
文明をゼロから作るタイムトラベラーの必携書
冬木糸一
『ゼロから作る科学文明 タイムトラベラーのためのサバイバルガイド』ライアン・ノース著、吉田三知世訳、早川書房
発想が面白い。過去の時代にタイムトラベラーが取り残されたとしても、なんとかできるようにという本。
『宇宙考古学の冒険』サラ・パーカック著、熊谷玲美訳、光文社
人工衛星からの画像を使って遺跡を見つける、って夕べ見た番組でも紹介していたぞ。流行っているのか。
『コンピューターは人のように話せるか? 話すこと・聞くことの科学』トレヴァー・コックス著、田沢恭子訳、白揚社
P92
生き残れ!燃える作家年代記(20)執筆編
我が輩の辞書に不可能の文字はやたら出てくるでござる
◎鈴木輝一郎
担当杉江さんのリクエストによる「辞書の話」。
岩波国語辞典(たしか四版)を愛用したという。これは使いにくかった記憶がある。歴史小説を書かれる作家なので『国史大事典』はともかく、『日本国語大辞典』まで使いこなしたという。後者を「いわゆる「ニッコク」」とあったのには驚いた。そんな呼び名は聞いたことがなかった。
P102
鉄道の本棚
鉄道忌避伝説の真実
=V林田
『鉄道忌避伝説の謎』青木栄一著、吉川弘文館
そもそも、「鉄道忌避伝説」とは何か。住民の反対運動によって、鉄道や駅舎を遠ざけたことがあった、という言い伝えであるという。郷土資料館や社会科副読本にも、そう書かれていることがあるとも。ところが、そんなものは本当はなかったのだ、というのが本書。
P104
●SF音痴が行くSF古典宇宙の旅(14)
SF界の頂上対決 PKDとの死闘
=高野秀行
PKDとはもちろんフィリップ・K・ディックのこと。
今回は、『ユービック』について。
SFマガジン2014年10月号掲載 PKD(フィリップ・K・ディック)総選挙第1位(栄光のセンター)ディックがこの世に送り出した作品から、読者が選んだ推しメン(作品)、堂々の1位!
というのが文庫の帯だのだそうだ。いやはや、すごい。ディック作品に、はまりこんだきっかけが『ユービック』だった。映画ブレードランナーが公開されるよりも、ずっと以前。
P104
SFというのは一般の読者にとって敷居が高くて狭い。各作家にはそれぞれ世界観があり、新しい作家の小説を手に取る度に新しい世界に入らなければならない。
このあと、SFを外国旅行に喩えている。未知の国に入るときには、景色や食べ物、言語、法律、マナーにいたるまで異なるので、それらを一から学ばねばならない。SFもそうだという。そんなに読みにくいか? SFって。
P106
●サバイバル名書物(64)
「言葉は文化の主要媒体ではない」に
書き手の私はおののき
狩猟者は賛同する
=服部文祥
『「本当の豊かさ」はブッシュマンが知っている』ジェイムズ・スーズマン著、佐々木知子訳、NHK出版
「本当に世間で言われているほど、お金がいるのか?」 サバイバル登山家らしい問いだ。
服部さんは一日500円も必要としないという。そういえば、かつて、狩猟採取で生活していた縄文時代には、一日の労働時間が4時間程度だったという話、どこかで聞いたぞ。
現代に狩猟採取で暮らしているブッシュマンではどうなのか。
P112
マルジナリアでつかまえて(39)
千年前の本だって読みます/印刷博物館編Ⅰ
=山本貴光
印刷博物館についての紹介。
凸版印刷が運営する企業ミュージアム。2000年に文京区小石川で開館した。館長はあの樺山紘一さん。
P120
連続的SF話(439)
リストの楽しみ
●鏡明
様々なリストで埋まっているような本が好きなのだ
「本のリストの本」
P131
三角窓口
東進斎快楽・公務員48歳・川口市
幸田露伴晩年の代表作「連環記」。短い話でありながら、濃密な読書体験が待っている大傑作だ。
読みたくさせるなあ。
P140
●神保町物語外伝
竹久夢二の病
=沢野ひとし
冒頭に《前号の記載の訂正とお詫び》が出ていた。
元本郷にあった菊富士ホテルの跡地に弥生美術館と隣接した竹久夢二美術館があるというのは、誤認。
このところ、こちらのシリーズ記事は読まなくなっていたので、気がつかなかった。あれま、だね。
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P144
読み物作家ガイド
文章の快楽に呵々大笑する!
●吉田健一の10冊
=古屋美登里
吉田健一を担当するのは古屋美登里さんなのだ。いろいろな意味で、ふーん。
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