80年代音楽解体新書/フィギュール彩Ⅱ(1) スージー鈴木 彩流社 2019年08月25日 初版第1刷 190頁 |
最近、ほぼ毎週見ているBS12の「ザ・カセットテープ・ミュージック」という番組にスージーさんが出演している。この番組を見るまで、スージーさんのことは知らなかった。なんともオタクな番組内容にもかかわらず、いやだからこそ、一度見出すと目が離せなくなってしまった。
この番組内では定番となっている言葉(テクニカル・ターム)である、
・カノン進行
・ミファミレド
・後ろ髪コード進行
・maj7多用
・9th
・sus4
などを用いた説明がてんこ盛り。
いうなれば、TV番組「ザ・カセットテープ・ミュージック」を本にしたような。
番組なら具体的に音源を流しながら、図解で説明もできる。本ではそれが難しいので、いろいろ工夫をしている。図柄が楽しかった。もっとも、いくつかは YouTube でピアノを弾いた動画がアップされている。
洋楽での元ネタ→邦楽での結果が、これでどうだ! というほど紹介されている。いやはや。
もちろん「索引」なんぞはないが、いったい何人の名前(グループ名)、曲名、アルバム名が出てきただろう。
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本書を読みながら、「批評」とはなんぞや、などということを考えてしまった。文芸批評は今やメインストリームではなく、スージーさんの書くこのようなものが批評の現在なのか。批評を読んでいるときに感じる喜びはどこからくるものなのだろうか。
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P104~ 大瀧詠一に一度だけ会ったはなし
1997年2月7日金曜日、FMヨコハマ。大瀧詠一とピーター・バラカンが出演している番組『我が心のリバプール』のスタジオ。
(当時、FMヨコハマの、とある番組にレギュラー出演していた)スージーさんは、出演するコーナーで事前に盛り上げ、「生・大瀧詠一」に何とか会えないかと画策したのだとか。で、ついにスタジオに入ることができたという。
そしてサインを求めたときのこと。(スージーさんは、そのためにわざわざ黒ペンと『A LONG VACATION』のLPを持参していた)。
「スージーくんとは、これから一緒に仕事をするかもしれません。私は、そういう人とは対等の関係でいたいので、サインはしません」
カッコいいなあ。
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【追記】
「ザ・カセットテープ・ミュージック」の「「ギター・マガジン」創刊号の表紙は誰だった? 編集部訪問ではしゃぐ音楽ずきおじさんたち」もすごかったけれど、12月1日(日)放送「BS12は12歳!ハワ恋カセット4時間スペシャル」は、いつも以上に濃かった。
で、思いついたこと。ここで取り上げているのは、ほぼ全部が30年以上も前のものばかり。12月1日(日)放送の4時間スペシャルにゲスト出演していたGLAY・TAKUROさんの発言を聞いていて、実作者の言葉だけにリアリティがあった。そして、その内容というのが、やっぱり20年以上も前のことだったのだ。Mr.Childrenの桜井くんが2拍3連だと言っていたとか、小室さんがこれからは転調だよと言っていたとか。その頃、自分も貪欲だったとか......。
さて、では、現在のミュージック・シーンは?
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