Google Earth で行く火星旅行/赤青メガネ付/岩波科学ライブラリー196 後藤和久、小松吾郎 岩波書店 2012年08月02日 第1刷発行 120頁 |
コンパクトな火星についての解説書。おまけのような付属「赤青メガネ」で、画像写真が立体に見える。全頁の約1/3を50年後の火星観光旅行に出かける高校生と添乗員の会話で構成。読みやすい。
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2018年07月31日 火星が地球に大接近し、TVニュースでも取り上げられていた。関東地方では幸い好天に恵まれ、肉眼でも簡単に見ることができた。23時過ぎ、月夜であっても、線香花火の燃え残りのような赤い星がぼんやり見分けられた。次に接近するのは、2035年9月11日。
本書は全5章から成っており、前述のように第1章~第2章(~p80/p120)が火星旅行の体裁をとった火星の解説。これだけで約3分の2を割いている。残りは「第3章 火星類似環境への旅」「第4章 いつか、火星に行く日に向けて」。
中心となっている火星旅行は、上手に現時点で観測されている結果をなぞる形をとりながらストーリーが組み立てられている。(そのために火星上のルートがこじつけっぽいところもあった。)
火星探査車キュリオシティ・ローバーがたどったルートを主人公の高校生が希望して見に行くという筋書きは面白かった。
ほぼ見開きごとに火星の立体写真が掲載されている。付属メガネは簡素ながらも、火星のクレーターなど、それなりに立体感をともなって見えた。
地球から往復に約1年弱かかるのにくらべ、火星滞在は5日間と短い。火星の解説書なので、往復時の描写は少ないが、出発前のやりとりと地球へ帰還後のリハビリなどは簡単なSF小説風で、旅行全体の雰囲気を壊さない工夫をしている。
おやっと思ったのが、p114「付録 火星画像の見方」。既知の人にとっては当たり前のことなのだろうが、Windows版 Google Earth では、火星の表面を見ることができる。(残念ながら、スマホでは不可)。
2005年に打ち上げられたマース・リコナサンス・オービターに搭載されたハイライズ(HiRISE)が可視光のカメラを積んでいて、最高1ピクセル25センチの解像度で火星表面を撮影した。これを Windows版 Google Earth で見られるのだ。中には立体画像もあって、本書付属の赤青メガネで見ることができる。
NASA以外ではESA提供の画像もネット上から見られる。火星周回衛星マーズ・エクスプレスが解像度約10メートルのカメラで撮影している。本書に掲載してあるアドレスを入力してみると、別のページへ飛ばされたので、メモ。
https://www.esa.int/Our_Activities/Space_Science/Mars_Express
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