坪ちゃんはすごい

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本の雑誌2016年5月号  No.395 特集=週刊誌の時代が再びやってきた!
半藤一利さんが旧制中学時代に、国漢の教員だったのが中島河太郎だった。それもとびっきりの軍国主義者の教員だったというエピソード。半藤さんはお嫌だったことでしょう。軍国主義者で国漢の教員というのは、いかにもありそうだなという当時のイメージのままじゃないでしょうか。

 『本の雑誌2016年5月号 特集=週刊誌の時代が再びやってきた!』を読んでいて、毎号愛読しているP94「坪内祐三の読書日記」に思わず唸ってしまいました。(JJおじさん風の言い回し)

二月十四日(日)の二十年分ぐらい溜めこんでいた『週刊文春』を整理していて、2013年7月18日号「読者より」欄、「沢野ひとし・イラストレーター・63」の投書についても面白かったが、次の文章には参った。

二月十七日
夕方、今日届いた平凡社の雑誌『こころ』最新号読む。澤地久枝さんとの対談で半藤一利さんが、「名前は出しませんが、後にミステリー評論家になった都立第七中学校のある先生が徹底した軍国主義者で、何度私はケツをシャベルでぶん殴られたことか」、と語っている。へぇー、中島河太郎って、そういう人だったんだ。

中島河太郎さんに対しては同情的に捉えていただけに、意外だったしちょっとがっかりもしました。東大時代の仲間はもとより、その後は学会からも相手にされなかったと聞いたのはいつだったでしょうか。

沢野さんのほうのエピソードは、68歳になっても、やっぱり相変わらずフットワークが軽いところが可笑しくなりました。肩書がイラストレーターで68歳として、週刊文春の読者欄に投稿する沢野ひとし! 読んでみたいなあ。雑誌『本の雑誌』は、ほぼ欠かすことなく愛読しているのに、この話(週刊文春の読者欄への投書)は、ちっとも目にした記憶がありません。坪ちゃんだって、本の雑誌には出入りしていたはずだし。それにしても、読者の欄にまで目をとおしているところが、やっぱり坪ちゃんです。本当に好きなんですね。この手のことに。

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P46大森望の「新刊めったくたガイド」から

 最後に小説以外。佐々木敦の新著が2冊。『ニッポンの文学』(講談社現代新書860円)はジャンル小説やライトノベルまで含めた日本の現代小説史。第5章では戦後の日本SF史が要領よく(35ページで)まとめられている。『例外小説論「事件」としての小説』(朝日選書1600円)は、第1部の「例外SF論」で、円城塔、伊藤計劃、北野勇作、法条遥、筒井康隆の作品が細かく検討されている。ともにSF読者必携。

 目配りが細かい。大森さんは、いったいどれだけ新刊をカバーしているのだろう? SFの枠にとらわれない柔軟なところ、あきれるほど。