[NO.1311] 太宰治の辞書

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太宰治の辞書
北村薫
新潮社
2015年3月30日 発行

まさか「円紫さんと私」シリーズの続きが読める日がくるとは思いもよりませんでした。主人公が中学生の息子をもつ母親で、友人の正ちゃんは高校生の子どもの母親になっていました。そんなことはさておき、謎を追いかける内容はこれまでとかわらずで面白いままでした。文学者たちの裏話、ゴシップネタめいたこの手の謎解きにはわくわくさせられます。そういった文学好きでないと、興味がわかないかもしれないかな。

中身は3部構成。
初出
花火「小説新潮」2015年1月号
女生徒「小説新潮」2015年2月号
太宰治の辞書 書下ろし

主人公の私は以前と同じく出版社勤務でした。編集者として遭遇した文学にまつわる謎を追うという趣向は、これまで一連のシリーズ作品と同じ。

「花火」は芥川龍之介「舞踏会」について。
「女生徒」は文字通り太宰の「女生徒」。
そうして両作品の謎を報告すべく、大御所円紫師匠に話をすると案の定、さらなる謎を提示され......。それが太宰の日常手にしたであろう「辞書」の探索へと続くことに。

相変わらず、旅行を好みそうにない北村氏。いや主人公。今回は珍しく前橋まで新幹線を使っての日帰り旅行を敢行しています。