[NO.1262] イカ干しは日向の匂い

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イカ干しは日向の匂い
武田花
角川春樹事務所
2008年5月8日 第1刷発行

初出は実にまちまち、いろいろな雑誌にわたる。時期も早いものでは1992年から。

まとまった花ちゃんの文章を読むのはこれが初めて。なかなか個性的。毒もある。文章の途中でいきなり思いも寄らない内容へと飛躍するところが特徴か。花ちゃんの書くものは母親に似て天衣無縫だとか奔放などといわれていたのを思い出す。

彼女の撮った写真の何枚かは以前から目にしたことがあった。しかし、こうしてまとめて見ていると、白黒であることが新鮮でむしろ魅力的に思えてくる。廃屋や寂れた町並みといった内容からも、白黒であることは意図的な選択なのだろう。真似してみたくなる。猫をねらった白黒写真が個人ブログで山のように出てきたのは、花ちゃんの影響かもしれない。

ときどき出てくる「家人」というのはだれのことなのか気になる。

短い旅もの、というよりもむしろお出かけ風とでも呼んだ方がふさわしそうな記事が多い。そして、そいういうところが読んでいて面白い。日帰り、泊まったとしてもせいぜい一泊程度の近場。自宅が代々木とあった。