家族の昭和 関川夏夫 新潮社 2008年5月25日 |
表紙の写真がきれいだった。中身はいかにも関川氏といったところだった。あとがきによれば、
私には、文芸表現を「歴史」として読み解きたいという希望が、かねてからある。そこで今回は、昭和時代を「家族」という切断面で見ることを試みた。文芸表現とは言語表現全体にわたり、映像作品をも含む。
実際に扱われていたのは向田邦子の作品が一番多い。へーえ、と意外だったのが『君たちはどう生きるか』(吉野源三郎著、岩波書店刊)。
で、『君たちはどう生きるか』について。当然といえば当然なことだが、戦後版は書き直されたところがある。ところが、当時絶版だった昭和57年に再刊が決まると、丸山真男がオリジナル版を底本とするよう強く勧めたのだという。ぜひ、戦前版を読みたくなった。
それから『流れる』(幸田文著、新潮社刊)。この取り上げ方は山本夏彦を想起させる。
で、最後がTVドラマ。すでに活字の小説ではないところが寂しい。
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