[NO.1239] 超バカの壁

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超バカの壁/新潮新書149
養老孟司
新潮社
2006年1月20日 発行

前『バカの壁』との違いはというと、前作が口述筆記だったのに対して、こちらは普通に書かれたものであること。

おやっと思ったのは、仕事に対する考え方。筆者は大学に勤務していたときに、死体を引き取りに来られた遺族との交渉をやっていたという。すると(助教授時代)、教授からそれは助教授の仕事ではないのでやらなくともいい、と言われたのだそうだ。しかし、筆者は助教授職だからやらなくていいというのは違う。これは自分の仕事だと考えるのだから、自分でやると決めた。それで良かったのだそうだ。

この仕事に対する考え方が、以前に読んだ内田樹氏が繰り返し書いていたものと似ている気がした。たとえば、阪神淡路大震災に遭遇したときに、内田氏の勤務する大学で瓦礫の山を片付けていると、それは教授の仕事ではない、と言って帰ってしまった同僚がいたのだが、それはおかしいといっていた。内田氏いわく、自分の仕事と他人の仕事との間にある仕事というものがあり、それは気づいた側から手を出すものだというようなことをいっていた。似ている。

解剖という仕事をとおして見えてきたこと、それがバカの壁だったのだろう。趣味が昆虫採集。そういえば、同じ趣味の奥本大三郎氏は最近どうしているのだろうか?