国家の品格/新潮新書141 藤原正彦 新潮社 2005年11月20日 発行 2005年12月10日 5刷 |
何故にベストセラーになったのか、気になっていた。批判もあることは知っていた。
もともと数学者がどうして国家(の品格)なんだ?
藤原氏の論では、中核にあるものが武士道なんだという。まず新渡戸稲造から説き起こしている。そこで「葉隠れ」ではないところが今ふうなのだろうか。そのあたりが売れた原因のひとつなんだろう。
ここに書かれた考えは、そもそも著者がアメリカへの留学中に経験したことがきっかけとなって生まれたのだという。なるほど。
人生論ならそれでいい。そのうえ国家にプラスして品格まで持ち出したところが、売りなのだろう。
自由、平等、民主主義という概念自体が虚構なんだという指摘は、戦後生まれにとっては衝撃なのかな。けれども、敗戦で価値感が転倒したことを経験している世代にとって、何を今さら......と一蹴されそう。ましてやさらにその上の世代である明治生まれにいたっては、今さらなにをかいわんやだろう。
戦前の方向から戦後の流れが民主主義に取って代わられたのだという。しかしながら、現在の資本主義経済の流れですら、ひとつの選択肢に過ぎない。だから、イスラムの問題が浮上してきているのだから。
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