村上春樹にご用心 内田樹 アルテスパブリッシング 2007年10月9日 初版第1刷発行 |
秋に入ってからずっと内田樹氏の本を読んでいる。それも次から次へと。これだけ惹きつけられてしまった魅力は何なのか。考えた末の答えが、「文体」のような気がする。内田氏による文章を読んでいること自体が快い気がするのだ。読む上では、もちろん中身が何を言わんとしているのかということも大切なのだが、読んでいる間中、快いシャワーを浴びているような感覚になっている。これじゃ、まるで中毒だ。
おかしな例えだが、活字中毒者は読むものがなくなると、たとえ薬瓶の注意書きや効能であってもそれらの文字を読んでしまうという。(自分でも活中者の自覚はあるが、とてもそこまでではない)。
この感覚は他でも感じたことがあったぞ、と考えて思い当たったのが村上春樹の文章だった。やはり同じように読んでいること自体が心地よく思えてくる。この生理的ともいえそうな感じは何なのだろう。
本書で村上春樹と並んで太宰治を取り上げている。何でも大学の授業で並べて扱ったのだという。このお二方にも共通しているところがありそうだ。私だけはあなたの気持ちがよくわかっていますよ、とこっそり耳の後ろからささやかれているような書き方がありはしまいか。どうなのだろう?
それにしても、内田樹氏が村上春樹を好きだという取り合わせに妙な気分になる。すでに2冊も村上春樹について出されている。村上龍氏についても、ときどき言及することはあっても、こちらの出版はない。
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