敬語はこわくない/講談社現代新書1450 井上史雄 講談社 1999年5月20日 第1刷発行 1999年9月29日 第4刷発行 |
『百年分を一時間で』(山本夏彦著、文春新書)によれば、山本夏彦が新入社員に配った中の1冊だという。言葉遣いにうるさかった山本社長が選んだというので、どんなものかと興味をもった。
著者によれば、敬語は大まかな理屈を押さえておけば、応用が利くという。具体的な動向として2つを挙げている。それが「敬意低減の法則」と「敬語の丁寧語化」だという。
たしかに、長いスパンで眺めれば、変化の行く末が見えてくるだろうし、だから、どうつかえばいいのかがわかってくる。著者は謙譲語の使い方を迷う現代人が多いという。なるほど、そのとおりだろう。(前書きによれば、だから時間のない読者は謙譲語と尊敬語の混同が書かれている第6章だけを読んでもいいという)。
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p24
また相手が文法的に間違った敬語を使っているのも直しにくい。目上のことばをとがめることは、普通はしないし、他人なら放っておくのが普通だ。当人の感情を害さないように気づかうのだ。
直してもらった方が有り難いとは思わないのだろうか。
p90
最近敬語においても、目上・目下でなく、親疎による使い分けが進出してきているのだ。
途中略
これは仏語や独語では、二人称代名詞の使い分けが、中生では身分によっていたのが、今は親疎によるようになってきた。それと同様の変化が、現代日本でも起こっているのである。
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