[NO.1203] だれも知らない小さな国/青い鳥文庫

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だれも知らない小さな国/青い鳥文庫
佐藤さとる
講談社
1980年11月10日 第1刷発行
1992年4月20日 第31刷発行

夏になると読みたくなる児童書がある。数年前までは、それが神宮輝夫訳によるアーサー・ランサム全集だった。ところが今年はなぜか佐藤さとるの「コロボックルシリーズ」になってしまった。それも、8月が終わってから。いったいどうしてこのシリーズを読み返そうという気になったのか、強いて挙げれば、全巻解説が神宮輝夫氏だったことかもしれない。

そもそも、このシリーズを読んだのは1970年代だった。それから幾とせ。記憶は確かだった。村上勉氏の挿絵が強烈に覚えていたのだった。

さて、シリーズの第1巻。昭和34年に書かれたという。思ったよりも古い。しかも、この話の出だしは戦前が舞台だった。このあたりは、すっかり記憶から抜け落ちていた。シリーズ内の他の巻よりも、話の展開がゆっくり。今どきの子どもには飽きられてしまうかもしれない。しかし、構成としてはもっともしっかりしている。もしかすると、本書だけで終わってしまったかもしれないと考えれば、それもうなずけるだけ、練られた内容だった。