明治の東京写真/丸の内・神田・日本橋 石黒敬章 角川学芸出版 平成23年3月25日 初版発行 |
これまでに目をとおしてきた類書のほとんどが新聞社などによるものだったが、本書は石黒敬章氏お一人による出版というところに大きな特徴がある。また、絵はがきによる写真を取り上げてもいるところも特徴か。この絵はがきは、当時お土産用として生産されたものだという。それだけに、当時の人々にとって有名だった名所(現代とは違っているところが面白い)が多いのだとも。すると、どうしても「丸の内・神田・日本橋」に偏ってしまうのだそうだ。なるほど。
中には、別の本で目にした写真も多かったが、初めてのもので興味深いものもたくさんあった。
火災で多くの犠牲者を出したことで有名な白木屋。この建物の変遷がよくわかった。初期の建物に比べ、焼けてしまった建物の外観はモダンで目をひいたであろうと思える。
この手の写真を見るたびに思うのは、現在の官庁街である霞ヶ関一帯や大手町あたりに人通りの少ないこと。特に明治初期、西洋風の建物ばかりが立派にそびえており、道路も広いのに、人影がほとんど見当たらない。もしかすると、写真撮影にあたって人間を映らぬようにしたのだろうか。住人が消えた大名屋敷跡の影響もあるのだろうか。
それにしても、親子二代にわたるとはいえ、よくぞ個人でこれだけのコレクションをしたものだと感心する。他にも著者による類書があることを知り、興味がわいた。
著者が館長を務める古写真サイト「いにしえおもしろ写真館」を発見。
【追記】170918
上記リンク、古写真サイト「いにしえおもしろ写真館」はリンク切れになっておりました。残念。
コメント