[NO.978] 〈転向〉の明暗/「昭和十年前後」の文学/文学史を読みかえる3

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〈転向〉の明暗/「昭和十年前後」の文学/文学史を読みかえる3
長谷川啓
インパクト出版会
1999年5月25日 第1刷発行

 学生時代、神保町古書店の書棚でその本としての大きさと中身としての大きさ(難解さ)にためらいを覚え、いつかは手元に置いて読んでみたいと思っていた本に、『共同研究 転向(上・中・下巻) 』(思想の科学研究会編・平凡社刊)がありました。
 その後幾星霜、神保町の書棚からもめったに見ることがなくなってしまい、先日、某所古書店で見つけ、当時のことを懐かしく思い出したものです。

 で、本書について。どうやら企画の段階では、フェミニズムやジェンダーといった視点から昭和十年前後の文学史をとらえる企画だったようです。けれども、そちらで依頼した原稿が思うように集まらなかったとか。
 前書きで編者長谷川啓氏によるそうした記述を読み、納得。どうも、目次を見てもわかるように全体の構成に違和感を覚えたもので。

 出版社サイトに目次あり。こちら

 「『家の光』を中心に農村の自力更生運動を問う」を読み、記憶に残っていたところ、思いがけない本で関連を目にし、驚きました。