幻想書誌学序説 村上博美 青弓社 1993年1月30日 第1版第1刷発行 |
出版元「青弓社」サイトに詳細な紹介あり。
10代の頃、一度はのめり込んだ世界を、その後もこうして持続させていたことに敬意を表します。いやはや大したもの。
県立図書館にお勤めとのこと。ますます、感無量。
「第五章 薔薇十字社の「最後」の本」、面白し。具体的には『妻帯司祭』(バルベイ-ドールヴィリ著、小島俊明訳)なる本の話。薔薇十字社版の同書は、版元の薔薇十字社が倒産後に回収された後、改装されて、新たに出帆社版として生まれ変わったのだという。
p89
再び市場に送り出すにあたって、ネックになるのは社名と日付である。そこで函の背に、新しく印刷した題簽を上から貼り込み、旧社名が見えないようにする。本体の背の社名は箔押しになっているので、紙を貼るわけにも、重ねて箔押しするわけにもいかない。よって、表紙ごと(製本上、表紙、背表紙、裏表紙の三者は一体である)取り替え手しまう。最初、箔押しの文字を消す方法があるのではないか、と考えたのだが(この方が、経費的には廉価であろう)、パテや砥の粉のようなもので窪みを埋めるにしても、所詮、紙とは異質で、容易に剥落してしまうに違いない。出帆社版の花ぎれの色が異なっているところからも、表紙は一度取り去られたものと考えた方がよさそうである。以下略
もちろん、両方の本について写真が添えられています。
コメント