[NO.763] 活字学級/角川文庫

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活字学級/角川文庫
目黒考二
角川書店
平成9年8月25日 初版発行

 巻末、解説で嵐山光三郎が「メグロは小林秀雄をこえた」と書いています。作品という対象物をダシにして、自分の言いたいことを述べている小林秀雄をこえる存在はいないのか。坂口安吾がそうであったが、小説に重きを置いてしまい、その後、あとを次ぐものがいなかった。そこに現れたのがメグロ氏なんだそうです。
 博識をひけらかすでもなく、対象である本がきちんとそこに見えている、そういう書評が少ない中、メグロ氏は貴重なんだとか。

 なるほど、そういう見方もあるのね、と感心。そのうちに思ったのは別のこと。巻末にびっしり並んだ本の題名、そのほとんどが小説なんですね。中年と称するこの歳で、これだけの小説を読めるということの方に感銘をうけます。疲れないのでしょうかねえ。

 本書、角川文庫だったとは。現在から顧みると、あな珍しや。