東京の原風景/都市と田園との交流/ちくま学芸文庫 川添登 筑摩書房 1993年11月4日 第1刷発行 |
冒頭から失礼であることは承知の上で、あえて言わせてもらいますが、なんとも読みにくい文章でした。内容がとても興味深いだけに、読み進めるのに苦労しました。
翻訳文にある悪い見本とでもいいましょうか、日本語として読みにくいのです。使われている語彙、漢語等はかまいません。文意をとれなくはないけれども、あきらかにつなぎ方がおかしいところがたくさんあります。山本夏彦氏がいうところの、悪しき岩波文化というのはこういうことだったのでしょうか。
中身は草花や樹木を中心とした東京の推移という面白い視点で書かれた本です。それも著者が生まれ育ったという飛鳥山を中心とした地域のこと。明治以前の歴史的な背景から説き起こし、実に興味深く読み進めることができました。数多く挿入されている和本から引用されている絵や地図にも惹かれます。
それにしても「センター」という語句が漢語の多い和文の中に、ぽっと挟まれると、こんなにも違和感が出るものなのか、と考えてしまいました。
「照葉樹林文化論」で有名な中尾佐助氏の名前が何度か出てきます。今度、読み直してみたくなりました。
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