書斎/日本の名随筆別巻6 谷沢永一編 作品社 1991年8月25日 第1刷発行 1998年1月30日 第7刷発行 |
さすが作品社。目次が出版社サイトに出ています。
どれもこれも掲載されている文章は好ましいものばかり。まあ、書斎というテーマが大好きなので、当然ですが。
荒畑寒村「獄中読書の工夫をこらす」が異色。逆境の中で勉強したという話は残っていますが、まあたいしたものだと思いました。英文を読めるようになり、科学書まで読み出したといいます。
巻頭の岡部一彦氏による口絵の内容について。そこに引用されている大佛次郎氏の書斎とベッドとは違っています。それだけ大佛氏の書斎にあったベッドが立 派だったということでしょう。かつて大佛次郎記念館で見た、有名な巨大ベッドは読書にとって夢のような大きさでした。
私は、日夜、大きな寝台に寝ている。日本中にある寝台の中で、一番大きい寝台だと云っても誇張でないかも知れない。ナポレオンの寝台より大きいだろう。
この寝台は、枕もとと脚の方と両側が本棚になっている。......読み度いと考えて枕もとへ運んだ本がいつの間にか、寝台の布団の上にも積み上って了い、大きいのを自慢の寝台が身を漸く横たえるだけの窮屈なものに成っている。
大沸次郎「本の寝台」より
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