漱石先生ぞな、もし 半藤一利 文藝春秋 1992年2月9日 第1刷 1995年7月25日 第15刷 |
世の中には犬派と猫派と比較されたり、シャーロック・ホームズ派とアルセーヌ・ルパン派とに分かれたりするように、漱石派と鴎外派にどうやら分けられた りもするらしいのですが、欲張りにも自分ではそのどちらにも属したいという気持ちがします。このあたりが、どっちつかずの一因でもあるのでしょう。
半藤氏の有名な漱石についての著。これまで読もうと思いつつ、日が経ってしまいました。
あとがきにあるように、著者が酒席で若い人たちに語ったというエピソードを集めた内容は、どこから読んでも面白い内容です。だからといって、なかなか内容は濃いものがありました。
例の丸谷才一氏が唱えた漱石のペンネームにまつわる送籍の話など、つい引き込まれてしまいました。義理の母である筆子さんが小学生の時の逸話を例に引き、しっかり自説を固めているところなど、さすが元名編集者。
こうして次から次へとページを繰っているうちに、いつの間にやら一冊を読了してしまいました。
■主な参考文献 (本文中に明記した一部は除いた)
荒正人『漱石研究年表』 (集英社)
青柳淳郎編『明治九十九年』 (オリオン社)
大久保純一郎『漱石とその田心想』 (荒竹出版)
虚碧白雲居士『漱石拾遺』 (畳乱青堂)
小林字俊『坊っちゃん談義』 (私家版)
駒尺喜美『漱石という人』 (思想の科学社)
佐々木英昭『夏目漱石と女性』 (新典社)
佐々木みよ子 森岡ハインツ『笑いの世界旅行』(平凡社)
柴田宵曲『漱石覚え書』 (日本古書通信社)
渋沢秀雄『大いなる明治』 (弥生叢書)
週刊朝日編『値段の明治・大正・昭和風俗史 (全四巻)』 (朝日新聞社)
高木健夫『新聞小説史』 (国書刊行会)
高木蒼梧『望岳窓漫筆』 (東京文献センター)
竹長吉正『日本近代戦争文学史』 (笠間書院)
竹盛天雄『漱石・文学の端緒』 (筑摩書房)
出口保夫『ロンドンの夏目漱石』 (河出書房)
蓮實重彦『夏日漱石論』 (青土社)
平川祐弘『夏目漱石・非西洋の苦闘』 (新潮社)
古川久『夏目漱石辞典』 (東京堂出版)
松岡華子『猫の娘』 (非売品)
松岡譲『漱石先生』 (岩波書店)
〃 『漱石の印税帖』 (朝日新聞社)
〃 『漱石・人と文学』 (潮文閣)
松山悦三 『作家追想』 (社会恩想社)
丸岡信一『はなしの散歩』 (南山社)
三浦一郎『世界史こぼれ話 (①~⑤)』 (角川書店)
水川隆夫『漱石と落語』 (彩流社)
山田俊雄『ことばの履歴』 (岩波書店)
矢本貞幹『夏目漱石』 (研究社)
和田利男『漱石の詩と俳句』 (めるくまーる)
渡辺一雄『新聞風俗帖』 (富士書苑)
石井和夫「人間漱石・日常と風貌」 (雑誌「国文学」学燈社)
清水一嘉「漱石とロンドンの古本屋」 (雑誌「学燈」丸善)
塚谷裕一「『それから』の白くない白百合」 (雑誌「UP」東大出版会)
中島国彦「一九〇一年春、異国の夫へ」 (雑誌「図書」岩波書店)
中野好夫「夏目漱石」 (『日本のこころ』所載・毎日新聞社)
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