コラムにご用心/エンタテインメント評判記 1989-1992/ちくま文庫 小林信彦 筑摩書房 1995年4月24日 第1刷発行 |
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はじめに
この本におさめられた六一の文章は、「小林信彦のコラム」というタイトルで、中日新聞に連載された。一九八九年九月から九二年三月までである。
内容的には「コラムは踊る」「コラムは笑う」(ともに、ちくま文庫)につづく現代の(エンタテインメント評判記)であるが、専門雑誌とちがい、新聞に書くというのは、多くの読者を想定する仕事である。ひとつひとつのコラムにはかなりの説明的要素を加えて、コラム集ではあるが、一冊の本として読み終えたときに、映画とは何か、テレビとは何か、が読者に感じとれるように配慮したつもりである。
そのために、「コテムは踊る」「コラムは笑う」よりもやや重い印象をあたえるかも知れないが、それはそれで、よいのではないかと思っている。
目次
はじめに
1989
1 〈とんねるず〉と植木等
2 「ニューヨーク・ストーリー」とウディ・アレン
3 刺激的な「ブラック・レイン」
4 「ニュースステーション」の特性
5 〈とんねるず〉をどう評価するか
6 松田優作の死とカーク・ダグラスの自伝
7 大阪賛歌 - 「どついたるねん」
8 マイケル・J・フォックスの一人四役
1990
9 一九九〇年の顔
10 「恋人たちの予感」と「シー・オブ・ラブ」
11 ビデオ映画の効用
12 「どついたるねん」とベストテン
13 元気いっぱい川村かおり
14 ダニー・ケイとニューヨークフィル
15 もう知らないとはいわせない!
16 アカデミー賞をめぐる想い
17 上岡龍太郎の反骨
18 邦画と洋画の(相互影響)
19 〈物まねの天才〉の死
20 〈とんねるず〉版「ちょっといい話」
21 〈偉大なるおたく映画〉の完結
22 四十七年前の秀作映画・初公開
23 黒澤明はいかに語られるか?
24 ある知性派女優の自伝
25 個性的スターが夫婦であるとき
26 キャスリーン・ターナーが好き 3
27 かえってきた笠置シヅ子
28 帰ってきた〈とんねるず〉
29 「櫻の園」映画化の成功
30 テレビにおける死体愛好症
31 「イカ天」崩壊の原因
32 一九九〇年・(笑い)の十大ニュース
1991
33 一九九一年の顔
34 「櫻の園」と〈脚色〉の妙
35 超情報化時代の戦争
36 喜劇映画の中の戦争
37 ヴァラエティ番組について
38 〈三文役者〉殿山泰司伝
39 「オールナイト・フジ」の終了
40 渡瀬マキのラジオが面白い
41 人々が映画館から離れるわけ
42 心ならずもゲリラ番組
43 キャグニー、最後の喜劇
44 「ミス・サイゴン」の陥落
45 「テルマ&ルイーズ」に乾杯
46 「羊たちの沈黙」の方法論
47 パターンとB級犯罪映画
48 黒澤明-曇のち快晴
49 「七人の侍」の奇蹟
50 カルト・ムーヴィーの復原
51 ホテルで見たⅤシネマ
52 (映画考古学)批判
53 ホラ吹き紳助
54 竹中直人の「無能の人」
55 二つの大阪青春映画
56 「ケープ・フィアー」と「恐怖の岬」
1992
57 一九九二年正月
58 エノケンから木梨憲武まで
59 「シコふんじゃった。」をめぐって
60 ベストテンは〈一応の目安〉
61 ロジャー・コーマンと大蔵貢
〈対談〉
今、映画批評を考える(森卓也)
ふたたび、映画批評を考える(中野翠)
あとがき
解説 小林信彦の名人芸 吉川潮
題名索引
解説にあるタイトルのとおり、名人芸。「38 〈三文役者〉殿山泰司伝」(→ NO.549『三文役者の死』)など、自分でも読み、読書録を残しているだけに(おそれおおくて、とても文章なんぞ書けず。目次でお茶を濁しています)、なんともはや。アーカイブス1へ
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