いろんな色のインクで 丸谷才一 著 マガジンハウス 刊 2005年9月15日 第1刷発行 |
原稿はまづ5Bか6Bの鉛筆(シュテットラー)で下書きしてから、二百字詰めの原稿用紙に万年筆で書く。それもさまざまの色のインクを入れた万年筆で。ターコイズ・ブルー、セピア、グリーン、サウス・スィー・ブルー、ブルー・ブラッ ク。ときどきインクの色を変へると元気が出るのだ。最後に赤で直す。赤以外で直すこともある。赤はデ・アルテメンティスのカール・マルクス。
万年筆は以前はモンブランを使ってゐたが、近頃はペリカンが気に入ってゐる。ロットリングも好きだ。
仕事部屋の窓をあげると、前方二十メートルにかなり大きな欅(けやき)の樹があって、目を慰めてくれる。
巻末、「書評索引」として、「書名索引」と「著者(編者、監修者、校注者)名索引」があります。
p394
初出一覧
I 書評のレッスン
姿のない書評は書評ぢやない 「本の話」一九九五年一一月号
マンゾーニ『いいなづけ』の書評を書き直す 「本の話」一九九五年一一月号
カズオ・イシグロ『日の名残り』の書評に書き足す
カズオ・イシグロ『日の名残り』(ハヤカワepi文庫)解説 二〇〇一年五月
Ⅱ 74の書評
危険な日記 「毎日新聞」一九九五年四月二四日
日本にはない型の美術評論 「週刊朝日」一九九三年七月二日号
人生を花やかに弔ふ 「毎日新聞」一九九八年五月二四日
ミセス・ブラウンの配色 「毎日新聞」一九九六年三月四日
辺境のキリスト教 「毎日新聞」一九九七年五月一一日
文学的伝説 「毎日新聞」一九九五年六月二六日
突起から組紐のループが垂れた感じの 「毎日新聞」一九九六年九月二三日
恐るべき話術の哲学書 「毎日新聞」一九九六年二月一二日
浅田宗伯の飴のために 「毎日新聞」一九九七年一月五目
古代的なトリックスター「毎日新聞」一九九六年七月一日
偉い学者の書いた薄い本 「毎日新聞」一九九七年六月一日
十六番目の勅撰和歌集 「毎日新聞」「九九七年九月二八日
所領を求める者、宝を求める者「毎日新聞」一九九七年四月二〇日
第三の男 「毎日新聞」一九九五年一〇月九日
ロマン派の名残りのもの 「毎日新聞」一九九六年四日一日
生きとし生けるものいづれか歌を 「毎日新聞」一九九六年八月一三日
大弓の弦は燕の声に似た響きを立てて 「毎日新聞」一九九四年一〇月二四日
戦記物藝能と体制 「毎日新聞」一九九六年一月二二日
戦後日本最高の喜劇 「毎日新聞」一九九八年六月一四日
世界文学大辞典の大項目 「毎日新聞」一九九八年二月一五日
ヴェニスでの宝さがし 「毎日新聞」一九九八年七月一二日
1929年といふすごい年 「毎日新聞」一九九八年九月一三日
逸民そして市民 「毎日新聞」一九九六年一二月三日
聖河はどこかにある 「毎日新聞」一九九七年六月二九日
抒情的政治への批判 「毎日新聞」一九九五年九月一八日
「書き出し」から「結末」まで 「毎日新聞」一九九七年七月二〇日
蝿は鳩よりも色事が上手 「毎日新聞」一九九九年一二月二六日
ミッソーニの織物 「毎日新聞」一九九六年九月二日
わたしも出題します 「毎日新聞」一九九八年八月二日
文化人類学から経済学まで 「毎日新聞」一九九七年八月一〇日
ゴシップとスキャンダル 「毎日新聞」一九九九年六月二〇日
元日も発掘する青春 「毎日新聞」一九九九年一月一七日
ものを考へない日本人 「毎日新聞」一九九九年五月二日
文豪時評の時代から書評の時代へ 「毎日新聞」一九九五年七月一七日
「喪失」の研究 「毎日新聞」一九九九年五月一六日
巨匠の若書き 「毎日新聞」一九九四年九月一二日
正宗白鳥=小林秀雄的風土に逆らって 「毎日新聞」一九九五年一二月一二日
象牙海岸のベッドで 「毎日新聞」一九九九年四月四日
小説的人間の探求 「毎日新聞」一九九六年七月二二日
挨拶といふ儀式のために 「毎日新聞」一九九九年八月一五日
原日本語とタミル語とそして...... 「毎日新聞」一九九四年八月二二日
稲作といっしょに到来したもの 「毎日新聞」一九九七年一〇月一九日
花嫁衣裳の赤と白 「毎日新聞」一九九五年五月一五日
『万葉』から谷川俊太郎まで 「毎日新聞」一九九八年一月四日
老女の変形譚 「毎日新聞」一九九六年二月一〇日
山根味噌のおむすび 「毎日新聞」一九九八年二月一五日
言責のエネルギー 「毎日新聞」一九九五年八月七日
菜の花とレイプ 「毎日新聞」一九九四年一〇月三日
並び大名、腰元、そして...... 「毎日新聞」一九九六年四月一六日
野毛山節考 「毎日新聞」一九九五年一〇月三〇日
失はれた時間をなつかしむ 「毎日新聞」一九九九年二月一四日
図太い先生 「毎日新聞」一九九五年八月二八日
この花やかな訳者たちの顔ぶれ 「毎日新聞」 一九九八年一二月六日
作曲家は鳥の唄を金銭出納帳に書きつけた 「毎日新聞」一九九九年一一月七日
ミスタ・ブルームの先輩 「毎日新聞」一九九五年六月五日
詩人は人生を二度生きる 「毎日新聞」一九九八年八月一六日
悪の研究 「毎日新聞」一九九六年五月一三日
古代ローマの政治的言説 「毎日新聞」一九九七年一月二七日
地霊によって祝福される恋 「毎日新聞」一九九九年九月一二日
ヒロイックな批評家 「毎日新聞」一九九四年八月一日
灯の色がはたちではない戎橋 「毎日新聞」一九九八年四月一九日
わけのわからない印刷物の研究 「毎日新聞」 l九九八年三月二九日
共同体と孤独 「毎日新聞」一九九九年七月一八日
サロンの主宰者 「毎日新聞」一九九七年二月一六日
自殺願望者の陽気な余生 「毎日新聞」一九九九年一〇月一〇日
クセジュに逆らって 「毎日新聞」一九九七年三月九日
生活の藝術化 「週刊文春」一九九八年一月二九日号
風俗への関心 「毎日新聞」一九九八年一月二五日
『宮本武蔵』以後最も好評を博した新聞小説 「毎日新聞」一九九七年三月三〇日
イプセンの同時代作家 「毎日新聞」一九九七年一一月三〇日
日本人の知らないアメリカ 「毎日新聞」一九九九年三月七日
娘ごころの研究 「毎日新聞」一九九七年八月三一日
不死身のマーガレット 「毎日新聞」一九九八年三月八日
ちょうどチャンドラーと同じやうに 「毎日新聞」一九九六年一〇月一四日
Ⅲ ポケットの本バッグの本そして......
一種の反小説 「小説新潮 別冊」一九八八年五月
山崎正和の文庫三冊を選ぶ 「毎日新聞」一九九三年五月一七日
共同体のための小説家 『新潮日本文学アルバム 菊池寛』一九九四年一月一〇日
双子をめぐる文学論 「学士会会報」一九九四年一月
サイデンステッカーさんの小説 「文学界」一九九五年七月号
ある和刻本のこと 「日本近代文学館」第一四九号一九九六年一月
慶事を喜ぶ 「週刊朝日」一九九四年一〇月二八日号
しぶしぶ批判する 「国史大辞典」15上・月報(吉川弘文館)一九九六年四月
林望さんの最初の本 林望『イギリス観察辞典』 (平凡社ライブラリー)解説一九九六年一一月
昭和史の戯曲三冊を選ぶ 「毎日新聞」一九九六年一二月八日
刺戦の強い中国文明史 張競『恋の中国文明史』 (ちくま学芸文庫)解説一九九七年四月
再び『灰色の午後』のこと 「群像」一九九八年一二月号
近代と反近代 「毎日新聞」一九九九年七月一二日
蝶のための日本語 大野晋『日本語はどこからきたのか』 (中公文庫)解説一九九九年二月
Ⅳ ときどき樹を見ながら
東京はすごい町 『中村雄二郎著作集』(岩波書店)月報9 一九九三年九月
恵比寿ガーデンプレイスのことから話ははじまる 「読売新聞」一九九四年一〇月五日夕刊
秋の暮 「夕刊フジ」 一九九四年一〇月一八日
馬賊とブラジャー 「オール讃物」一九九五年五月
『肌ざわり』のころ 「赤瀬川原平の冒険」展(名古屋市美術館)図録 一九九五年一月二一日~四月二日
思ひ出 『芥川比呂志エッセイ選集』(新潮社)付録 一九九五年四月
果物の詩 「日中文化交流」一九九六年四月一日
俳と偏 『森銑三遺珠 Ⅱ』 (研究社)栞 一九九六年一一月
王朝的なもの 「文藝春秋」一九九七年一月
造語について 「外交フォーラム」一九九七年四月
牡丹その他 「文藝春秋」(メルセデス・ペンツ広告)一九九八年四月
国立の旦那のこと 「サントリー クォータリー」 51号一九九六年四月
十八年と三十八年 「ナンバー」別冊(YOKOHAMA Number)一九九八年一〇月
38年ぶりの「大洋」優勝 「毎日新聞」一九九八年一〇月一九日
横浜ベイスターズ一九九八 「読売新聞」一九九八年一一月四日夕刊
Ⅴ 推薦します
知的興奮と哄笑とそれから 高島俊男『本が好き、悪口言うのはもっと好き』 (大和書房)帯 一九九五年二月
中西進さんの学問 『中西進 万葉論集』 (講談社)内容見本 一九九五年四月
十年ほどの違ひ 「東京ゆかりの文学者たち- 明治」(於・東京都近代文学博物館)パンフレット 一九九五年四月
健全な文明論が芯のやうに通つてゐる 森谷正規『よみがえる日本の技術力』(祥伝社)帯 一九九五年七月
二都物語 『杉本秀太郎文粋』(筑摩書房)内容見本 一九九六年二月
不思議な名作 ジョイス『ユリシーズ』(集英社)内容見本 一九九六年四月
『荒地』にしても、ボルヘスやナポコフの小説にしても...... 『集英社 世界文学大辞典』内容見本 一九九六年五月
ある小説のこと 「十八世紀叢書」(国書刊行会)内容見本 一九九七年四月
脱帽! 伊藤整『裁判』(晶文社)内容見本 一九九七年五月
古里の花 『和歌文学大系』明治書院)内容見本 一九九七年六月
背番号は7 豊田泰光『オレが許さん!』 (ベースボールマガジン社)帯 一九九七年九月
小説と女 「女性作家シリーズ」(角川書店)内容見本 一九九七年九月
書物譚 成島柳北自筆 前田愛解説『硯北日録 成島柳北日記』(太平書屋)内容見本 一九九七年一一月
文壇史といふもの 大村彦次郎『文壇栄華物語』(筑摩書房)帯 一九九八年一二月
小説の名手 『ウィルキー・コリンズ傑作選』(臨川書房)内容見本 一九九九年三月
言葉と新聞 毎日新聞校閲部編『新聞に見る日本語の大疑問』(東京書籍)帯 一九九九年五月
ダブリンの歩き方 結城英雄『「ユリシーズ」の謎を歩く』(集英社)帯 一九九六年六月
叶ふ願ひ 池内紀訳『ファウスト』(集英社)内容見本 一九九九年九月
Ⅵ 名作を選ぼう
近代日本の百冊を選ぶ 百冊を選ぶ座談会部分は、「月刊現代」 一九九一年一月号と二月号に掲載。百冊についての各論「百冊の中身とおもしろさ」は、単行本『近代日本の百冊を選ぶ』(講談社)に収録 一九九四年四月
千年紀のペスト100作品を選ぶ ベスト100作品を選ぶ座談会部分は、「小説現代」 二〇〇〇年一月号と二月号に掲載。各論「ベスト100作品の魅力」は、単行本『千年紀のペスト100作品を選ぶ』(講談社)に収録 二〇〇一年五月アーカイブス1へ
コメント