残暑がいつまでも残っていた9月が終わって、やっと涼しくなってきました。せっかくの3連休、次第に天気が崩れるという予報を聞いて、朝から出かけてき ました。この連休中、谷中まつりだとのこと。また、旧岩崎邸が10月中旬から外壁の塗り替え工事に入り、来年3月まで外側が見られなくなるということで、 見学へ。
地下鉄千代田線湯島駅からスタート。ついでに久しぶりに湯島天神へ。不忍通りから男坂の階段を上って境内へ。「七五三貸衣裳展示会」の大きな看板が出ていました。そこそこの人出。午前中も早かったせいか、屋台を出す準備をしていました。
絵馬の多さに驚きました。何カ所かに分けて場所を設けてあるのですが、どこも絵馬で分厚く盛り上がっています。売店(正式には授与所と呼ぶようです)に は、たくさんのお守り。ついでに合格祈願の鉛筆を購入。窓口の巫女さんが渡してくれるときに言った言葉が、いかにも神社らしい言い方でした(そのくせ、忘 れてしまいました)。
境内から夫婦坂の階段を下りて切通坂へ出ました。
つづいて目的地の「旧岩崎邸」へ。お隣の「池之端文化センター」が更地になっていてびっくり。この冬に壊してしまったのですね。
門を入ってから、ぐるりと広い敷地を回ると建物が見えてきます。受付を通って玄関へ。係りの方がビニール袋を手渡ししてくれました。館内は靴を脱いで持って移動。出口は別とのこと。
このときに外壁塗装工事の開始はいつかを聞いてみると、来週からとのこと。やっぱり今日来ておいてよかったようです。
内部はかなり広く、立ち入り禁止でしたが地下室もありました。全部は公開されていません。 ところどころドアが閉まっており、非公開。ちなみに3階へも行けませんでした。そうなるとつい好奇心が働きます。
面白かったのは家具類も幾つか保存してあったこと。書斎の本箱や机や椅子など。どれも当時のもの。
棟続きになっている日本家屋を通って庭園へ。靴を履いて庭を横切り、洋館とならんでジョサイア・コンドルが建てたという別棟「撞球室」(言い名前です、 ビリヤードルームじゃ趣がありません)へ。平屋ながら面白い建物です。内部がかなり傷んでいるのがわかります。外からしか見られないのが残念です。明かり 取りが前側の三和土に見えるので地下室があるのがわかります。どんな構造になっているのでしょう。建物の北側には大きく穴のように開いた部分も見えます。 こうした洋館に、ありがちな造り。去年行った、 旧朝香宮邸にも同じものがあったような。(違うのかな?)
敷地の外側を囲んでいる塀にレンガが残っていました。この積み方は何式でしたか? お屋敷の北側が鴎外の『雁』にも登場する無縁坂。狭い割には車の交通量があります。
そのまま不忍通りを北上すると道路の東側に古い家の塀が見えてきます。そこが横山大観記念館。 大観が住んでいた家。門を写真に収めていると、中からカメラと三脚を持った方が出てきました。門の内側から内部を撮影しています。そこで、「中は撮影でき ましたか。」と質問すると、「中はできませんよ。こうした外回りだけなら撮れますが。」とのこと。門を入って横を見ると趣のある庭の先に受けつけがありま した。
一緒にその庭を撮影して、中には入りませんでした。今日は先も長いし。
横山大観記念館から不忍通りをさらに北上したところで左折。東大の北側、壁沿いを進んで立原道造記念館へ。それにしても東大の内部は不思議な空間が拡がっ ています。工学部とはいえ、巨大な工場のよう。しかも、道の南側につづく塀が古いレンガで、なんとも怪しい雰囲気です。道の反対側(北側)は、落ち着いた 家並みがつづくだけにコントラストが対照的。
竹久夢二記念館、弥生記念館を過ぎると、ちょうど東大の弥生門の正面が立原道造記念館。何年か前にも来たことがあります。内部は各階がワンフロアの3階まで展示室。
今回の目的は、3階にある道造の使っていた机を見るため。前回訪れたときの印象では、とても小さかったように覚えていました。自宅で例のランプを持つ写真が残っている、あの3階屋根裏の一角が再現されていたように思い出され、気になっていました。
戦前の日本橋にあった商家の屋根裏ですから、ごく手狭な空間だったのではないでしょうか。やはり机は極めて小型なものでした。しっかり右側には縦並びの 引き出しが付いているものの、左右の大きさは1メートルもないように感じられました。机と同じく木製の椅子は、さすがに人が座るため、左右は学校で学童が 昔、使っていた程度の大きさはあります。その椅子が机に入っている様子は、それだけでいっぱいといった印象でした。机の天板の大きさが、今の時代からは考 えられないほど小さいものです。小中学校で使っている机を一回り大きくしたくらいといっても、大げさではないかもしれません。表面には細かな傷が無数に付 いていました。
大きさは小さいながらも、造りはしっかりしています。材質も悪く見えません。想像するに、注文品ではないかと思いました。
机上には道造の蔵書という説明で、小さな本箱に本が。文庫版の大きさで薄い冊子のような本が多数。大判は翻訳ものでした。左端が森鴎外。天金。立原道造の鴎外や詩集の初版集めは有名でしたが、死後売られているはずです。その中でも残ったものでしょう。
手製の日曜詩集がきれいでした。外箱まで手作りだった本物を見ていると、それが80年も昔のものだとは思えませんでした。
また不忍通りに戻ろうと路地を歩いていると、古い問屋さんのような建物を見つけました。「「レッテルは上野池の端両山堂」なる看板と建物の歴史を偲ばせるたたずまい。帰宅後、検索すると可笑しくなるほどたくさん出てきました。有名なんですね。
不忍通りを北へしばらく行くと、左側に古本屋が。根津の古本屋「オヨヨ書林」でした。夕べネットで見つけた小林信彦氏の本を探すと、ガラスケースの中に見たことのある文庫を見つけました。角川文庫版『オヨヨ島の冒険』です。去年の年末、茨城県古河市「たわしや古本店」にて100円で購入した本と 同じ。ガラスケースの扉が開いており、すぐ隣でお店の方が本棚の整理をしているところだったので、手にとってみました。なんと! 内扉に直筆サインが入っ ています。万年筆で几帳面な字でした。定価はついていません。高いかと思い、質問もしませんでした。まさかサイン入りとは。
表の均一には、『手鎖心中』(井上ひさし)帯付き、初版が見つかりました。店内にも、めぼしい本があったのですが、敢えて購入を断念。蔵書の増殖を、つい考えてしまいます。
看板に「古書・桃季」とあるのは、2004年頃までの店名をそのままになっているのだとか。お店の方向性を出し、頑張っていました。
言問通りとの交差点に出ると、急に懐かしさを覚える街並みの雰囲気。交差点の前後に千代田線「千駄木駅」。さらに不忍通りを進むと、「根津地域活動センター(不忍通りふれあい館)」。入ってみました。バンド練習に来ている若者がいました。スタジオが借りられるのでしょうか。
一角に、地場産業紹介コーナー。和紙で品のいいカルタ、べっ甲細工の品々、銀細工、琴、三味線などなど。5万円ちょっとの値札が付いている三味線がきれいでした。
奥の裏口を出ると、一気に昔へタイムスリップした気分になりました。隣り合った家々がつづく細い路地。車が通るのも難しそうなくらいの細い道。大きなプ ロが使うようなカメラを何台もストラップで掛けた二人が歩いてゆきました。その手の方々を引きつける、そんな街並み。
つられるように、何枚か撮影しましたが、生活感が強く感じられるだけに、なんだか写真の撮りにくいところもあります。
不忍通りを一本右手に入った、その路地を進み、さらに途中でもう二本奥の通りを北上。偶然入ったその道が通称へび道(旧藍染川)でした。その名の通り、 すごい蛇行。そのあたりから、谷中まつりののぼりがたくさん目につくようになり、観光客風の人も(地図を持って歩いている)、増えてきました。
三崎坂にでたところで右折。ここですごい人出。すぐ右がお祭り会場の一つ、谷中小学校でした。バザーや模擬店が出ていました。その相向かいの大円寺の境 内は出店でいっぱい。奥の本堂前にはテントまで。幼稚園児たちの獅子舞が演じられているところでした。射的、ラムネ、焼きそば、などなど。テントの中で、 来年春にはなくなってしまう「谷根千」が売られていました。この大円寺・笠森稲荷堂の飾りが立派です。作者は森桂雲という方だそうです。
お寺を出てさらに北上する途中、前を歩く男性が向こうから来る外国の方に声を掛けていました。よく見ると、ドナルド・キーン氏でした。お一人です。すれ違うときに、思わず会釈をしてしまいました。85歳とは思えないほど、お元気そう。振り返ると、既に人混みの中へ。
その後、すぐに谷中コミュニティセンターと広場(防災広場 初音の森)。ここではちょうど、芸大の学生による室内楽の演奏中。モーツァルトを何曲かやっていました。
コミュニティセンターでは、有名な天王寺五重塔焼失のときの写真が何枚か掲示されていました。文字どおり火柱と化している写真は、白黒ながらも迫力がありました。
コミュニティセンターを先に行くと、小さな公園。そこが岡倉天心旧居跡。奥にある記念堂内には、ライトアップされた金に輝く岡倉天心座像が。すすけた網 のかかったガラス越しに中を除くと、いきなり大きな金ぴかに輝く座像がみえたときには、ぎょっとしてしまいました。お弟子の平櫛田中作なんですね。
岡倉天心旧居跡を出ると、大きな拡声器による放送が聞こえてきました。谷中銀座商店街の放送。谷中まつりということで、すごい人出でした。
一度、左折してよみせ通りまで出てからUターン。以前訪れた柴又帝釈天の参道にあった商店街のようでした。森まゆみ氏の紹介で知ったときから、一度は実際に見たかった「夕やけだんだん」を登って、JR日暮里駅へ。
本当は、ここから右折して、朝倉彫塑館の方へ行きたかったのですが、またの機会へ。一番の心残りは、いせ辰と喫茶店乱歩の前を、それと気づかず通り過ぎていたことです。千社札も買いたかったし。せっかく印刷して持っていった、「谷根千ちずPDF版」を仕舞い込んで見なかったことが敗因でした。
最後は、秋葉原へ。JRで秋葉原まで。
今回の目的は、デジカメ一眼レフ用の単三充電池。エネループも欲しいけれど、もっと安いものでもいい、という方針で、あきばおー。ありました。以前とデザインが違いましたが、購入。1本188円×4で合計752円也。
ついでに、同店で512MBのUSBメモリを1Kで購入。
その後、いつもの巡回コースを回遊。いつもの昌平小学校隣の芳林公園で休憩。ベンチがいっぱいだったので、水の抜かれた子供用プールに腰かけると、愉快な光景を目にしました。
男性二人組が向かいの場所で談話中。すると、おもむろにみーんな持っている黒のリュックからレジ袋に入ったノートPCを取り出し、お互いにいじりだしました。それぞれジャンク品なのでしょう。液晶もバッテリーも付いていません。お一人が光学ドライブを抜き出し、開こうと。差し込む針を探し、キーケースをごそごそ。すると、お隣の方が、すっとなにやら工具を差し出して、開いてみています。携帯しているんですよねえ。みーんながこうした工具を。
そのうちに、公園入り口付近から3人組が登場。会話が聞こえてきます。「そういうことは、おうちに帰ってからするんだよお。いつもママが言ってるでしょ!」っと、いう間に、子供プー ル脇に立つ有名な黄色い滑り台の上に一人が登っりだしました。そして、デジカメで撮影しています。本日の成果であるジャンクPCにすっかり夢中のお二人は撮影されていることに気がつくと、「おいおい、ネットにUPするなよお!」 いやあ、和やか な雰囲気。
こちらは、それで帰るはずだったのです。しかし、最後にソフマップ駅前店に入ったのが運の尽き(?)。
■見つけてしまいました。新品マザー、ソケット478タイプが5980円也。このごろ中古でもなかなか店頭では、いいものを見かけなくなっているだけに、なんともはや。
他店を回ってから、再度、戻ると、床にしゃがみ込んで熱心に見ている方がいます。実は棚にならんで、もう一種類別の製品が置いてあり、迷うところなのです。 そちらの品は千円高い値札。そこで、思わず声を掛けてしまいました。「どっちがいいでしょうかねえ。」「迷うところです、ソケット478タイプはなかなかない ので。」
しばらく、二人で話し込んでしまいました。九十九の4階に、サーバータイプのものが出ていたそうですが、高かったとのこと。こちらは、安い方の「ASUS P4V8X-MX」を購入し、お先に引き上げてきました。このマザー、惜しむらくはマイクロATXなこと。予定外の買い物でした。
「じゃんぱら」にジャンクでマザーがたくさん出ていましたが、部品取りが目的ではないので、買う気にはなりませんでした。
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