[NO.519] われらの六〇年代/花ざかりの森を吹き抜けた旋かぜ風

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われらの六〇年代/花ざかりの森を吹き抜けた旋かぜ風
企画・編集 近藤憲一
発行者 塩澤昭典
株式会社ネット武蔵野
2006年7月19日 第1刷発行

 不思議な本。あとがきを読んで、本書の意図がわかりました。企画・編集者である近藤氏が、自分が青年時代を送った「六〇年代」というものを、単なるノスタルジーではなく、もう一度振り返ってみようと考えた。のだそうです。「ネット武蔵野」(小金井から全国に発信する出版社)というところからの刊行。
 執筆陣が壮観。

目次
●●外国映画
世界で同時多発的に起こった反逆と破壊  品田雄吉
 はじめに/ヌーヴェル・ヴァーグ/新しい映像派クロード・ルルーシュ/セックスの自由化/アメリカン・ニュー・シネマ
●●音楽/ジャズ
時代を闊歩したジャズ  小川隆夫
 ジャズが多彩な広がりを示した六〇年代/モダン・ジャズの夜明け/記憶の中のマイルス・デイヴィス/ジャズ喫茶が教室だった/ジャズはファッションの小 道具?/フリー・ジャズが時代の鼓動を伝えていた/渡辺貞夫の帰国で始まったオリジナリティの追求/バリケードの中のジャズ
●●日本映画
大転換期の六つの映画体験  白井佳夫
 プロローグ/一九六〇・大島渚/一九六四・今村昌平/一九六五・増村保造/一九六九・野坂昭如/一九七二・神代辰巳/一九七三・深作欣二/エピローグ
●●音楽/フォーク、ロック&ポップス
風に吹かれてさまよった若者音楽  鈴木道子
伝統から革新の時代へ/ヒッピー文化/ボブ・ディラン/ビートルズとローリング・ストーンズ/バーブラ・ストライサンド/ジョニ・ミッチェル/オフ・ブロードウェイ・ミュージカル
●●音楽/クラシック
巨匠の時代の終焉。それから  宇野功芳
 演奏の大変革期だった六〇年代/《ベルリン・ドイツ・オペラ》と《バイロイト音楽祭》/カラヤン派とベーム派/天才ムラヴィンスキーの来日/演奏が新時代に変わった七〇年代/六〇年代から大家だった朝比奈隆
●●スポーツ
六〇年代のスポーツ――その「光」と「陰」と  玉木正之
 東京オリンピック/祭りのあとの虚しさ/巨人・大鵬・卵焼き/モハメド・アリ/自立をめざしたスポーツ
●●テレビ
波瀾万丈だった六〇年代のテレビ  今野 勉
 テレビ黄金時代の前史/アメリカ製テレビ映画/《dA》の時代/『七人の刑事』へ/黄金時代のどまん中/TBS闘争/(黄金時代)の終わり?
●●漫画
寄らば斬るド!――ぼくの漫画家立志伝  砂川しげひさ
 大阪時代/二畳半からの出発/持ち込み時代/二畳半から四畳半へ/苦節七年
●●狂言
太郎冠者になりたかった異国人  ドナルド・キーン
日本文化への入口だった狂言/狂言で学んだ日本の伝統芸術/モリエール劇に替えられた私の太郎冠者/三島由紀夫が書いた狂言
●●古典演劇
六〇年代 十の話  渡辺 保
地殻変動/東宝劇団/団十郎襲名/文楽大合同/俳優座の 『四谷怪談』/団十郎の死/国立劇場と帝国劇場開場/山城と若大夫逝く/芝翫襲名/白石加代子
●●現代演劇
小劇場――風の季節に  石関善治郎
 変革の足音/早稲田小劇場と自由劇場/唐十郎「状況劇場」/佐藤信「演劇センター68/71」/寺山修司「演劇実験室天井桟敷」/蜷川幸雄「現代人劇場」「桜社」/緑魔子・讃
●●落語
落語家が先生に化けるちょっと前  京須偕充
 まくら/ラジオ落語全盛の五〇年代/芸術性と大衆性/昭和三十年代の落語/わが「六〇年代」の名演/六〇年代の終わり
●●文学
駆け抜けた時代  村上陽一郎
 六〇年代の私/繰り返し読み、自分の分身になった「古典」/カトリックと『田園交響楽』/私が惹かれた現代日本文学/『溟い海』で直観した藤沢周平の大成/もう一つの「先見の明」
●●美術
私が出会った三人の画家たち  粟津則雄
 駒井哲郎/池田満寿夫/渡辺恂三/
●●旅
みんながどこかの荒野をめざした。  椎名 誠
 登山の記憶はモノクローム/少年時代の夢の実現が、「無人島探検」だった/幻想と現実(うつつ)の旅の狭間で

「われらの六〇年代文化」関連年表 1958~1973
あとがき