[NO.488] ジャンクカメラの分解と組み立てにもっと挑戦!

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ジャンクカメラの分解と組み立てにもっと挑戦!
著者 水滸堂ジャンクカメラ研究室
技術評論社
平成19年4月25日 初版第1刷発行

 話には聞いていましたが、聞きしにまさる世界。この本(ムック)は、第2弾でした。パート1があったのですね。すごい世界です。
 特に下記「分解の心得7箇条」は極めつけ。中でも第7条には声を出して笑ってしまいました。まるで、人生道場です。最初は「ジャンクPCいじりにも通じ るじゃないか」と思いながら読んでいくうちに、そのあまりにも奥の深い世界に、ただただ敬服するばかりです。個人的に存じ上げている方に、PCからカメラ へ移行してしまわれたという話を聞いたことがあります。納得しました。
 前振りの文章は人生訓の羅列みたいですが、中身は完全にスキルのみの技術書。

p8
1-1 分解の心得7箇条
第1条 最初は壊すつもりで
途中略 したがって、最初に手を付けるべきは「修理したいカメラ」ではなく、「壊してもよいカメラ」です。少なくとも、10台は壊してからでないと、「修理」などという大それたことは考えてはいけません。......

第2条 情報を集める
 分解の第一歩は情報集めです。いくら独学の試行錯誤とはいえ、先人の失敗を繰り返す必要はありません。......
(1)書籍・雑誌
(2)インターネット
(3)サービスマニュアル
......(書籍や雑誌は専門家向けのため、内容が高度すぎる難点があるといえます)、また、扱っている機種も限定されていて、なかなか安価で転がっている機種の修理には使えません。

第3条 道具に溺れない
 カメラの分解には、当然専用の工具が必要になります。しかし、道具に凝りすぎてはいけません。道具を集めても、分解の腕前が上がるわけではありません。 無駄にお金を使うだけです。それどころか、道具を集めて満足してしまうと、分解に使うエネルギーがなくなってしまいます。確かに、専用工具は魅力的に映る ものですが、本書で扱う程度のカメラであれば、実はそれほど特殊な工具は必要ではありません。

第4条 ともかく記録する
略(デジカメで撮るよりも、手書きの方が立体的で役に立つので、併用せよ)

第5条 無駄と思わず繰り返す
......繰り返すことによって記憶が定着するのと同時に、見えない仕組みが見えてきます。......しかし、何度も分解と組み立てを繰り返していると、自然に理屈が見えてきます。経験の蓄積が理解に変わるのです。

第6条 分解はユニット単位で


第7条 なめない、あせらない、すさまない
 カメラの分解には、計画性と自制心が要求されます。何となく直りそうなので、ついうっかり分解を始めてしまい、どんどんのめり込んで分解していったが、 何が何だかわからなくなってしまった、という経験をお持ちの読者も少なくないと思います。筆者自身、そういう経験をいやというほどしています。これは最悪 のパターンです。

 まず、「何となく直りそうだ」などとナメた考えは捨てること。分解する以上は、明確な目的意識を持ち、きちんとした計画を立てないと、必ず失敗します。 また、分解に行き詰まったら、途中でストップする勇気が必要です。焦って頭がこんがらがっているときに突き進むのは自殺行為です。まず、立ち止まる。それ が鉄則です。

 しかし、そうして冷静さを取り戻すと、今度は酷くすさんだ気分になり、諦めの感情が生まれてしまいます。が、それも早計です。行き詰まったら工具を置い てペンを持ち、さきほど述べたように、そこまでの作業プロセスをノートにまとめてください。そして、どこで行き詰まったのか、どんなふうに行き詰まったの か、現状と原因を明確にしてください。次に、取りうる方法としてどんな選択肢があるか、方針を箇条書きにしてみましょう。そして、それを何度も読み直しま す。ときには1日2日、時間を置くことも必要です。冷静になること、諦めないこと、可能性を熟慮すること、それが成功への道です。

 これはカメラの分解に限った話ではありません。正確な現状把握と適切な方策の選択は、冷静な頭脳からしか生まれません。「信念」とか「耽溺」とか「損得」に惑わされると墓穴を掘るので注意しましょう。