[NO.438] 古本が古本を呼ぶ/編集者の書棚

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古本が古本を呼ぶ/編集者の書棚
高橋輝次
青弓社
2002年5月9日 第1版第1刷


目次
さすが「青弓社」。きちんとした目次がサイトで公開されています。

 どうも、読んでいてちょっとした違和感を覚えたのは、著者の経歴にも関係があったのかもしれません。あとがきを引用します。

あとがき
 本書をまとめながら、半ば苦笑まじりに思ったのは「相も変わらず、自分がやっている編集の仕事にこだわっているなあ」ということだった。それも、最新の コンピュータ機器を操る現在の編集者ではなく、明治・大正・昭和の、手書き原稿を読み、くっきりした印字の活字で組まれた木造りにたずさわった編集者たち に、である。自分もまさしくそうなのだが、古い、時代遅れの編集者たちの仕事にどうも愛着があるようだ。
 今回も、本書がそのような過去の埋もれた編集者たちやいまでは忘れられている作家たちの作品を、もう一度見直すきっかけにでもなってくれれば、たいへんうれしく思う。
 とはいえ、私のような文芸担当でもない地味な編集者が書いた書物エッセイが、海千山千の古書ファンや本好きの人、さらには物書きや編集者の方々にとっ て、満足して楽しんでいただけるものかどうか、あまり自信はない。それでも、初出のおり、「朝日新聞」 のコラムや金尾文淵堂についての文章、「嫌いな名 前の話」などに多少の反響があったとうかがい、それを唯一の頼りとして、思いきって世に出すことにした。きっと、いろいろな思い違いや書誌的な不備や誤り があることと思う。読者の方々のご寛容とご指摘をお願いしたい。
 タイトルは、本書収録の一篇からとったが、全体をとおして、テーマに沿ってイモづる式に次々と古本を紹介している文章が多いので、ふさわしいのではと思ったのである(だいたい、古書好きには、そのような本の蒐め方と読み方をする人が多いと思う)。
 本書は既発表のエッセイが中心だが、もとのままでなく、かなり加筆したものが多い。また、書き下ろしも三分の一くらい含まれている。しかし、はじめに発 表する機会と場所を与えてくださった編集者の方々のご好意がなければ、怠け者の私はこうも早く、一冊にまとめようという気にならなかったろう。その意味 で、朝日新聞社学芸部・寺田憲二氏、時事通信社文化部・若林哲治氏、日本古書通信社社長・八木福次郎氏、「悠」編集部(ぎょうせい)・田賀井弘毅氏、実務 教育研究所・宮野善郎氏、EDI・松本八郎氏、高原書店・高原陽子さんなどに厚くお礼申し上げる。
 また、金尾文淵堂について発表したさい、未知の貴重な資料をお送りいただいた読者の方にも感謝している。資料となる古本をお貸しくださった友人の堀口稔 氏、さらには、貴重な『昔野』の写真を提供していただいた「sumus」の山本善行氏、『ヰルヤム・ブレイク書誌』の写真撮影をさせていただいた神戸・後 藤書店をはじめ、資料蒐集や古本の写真のことでご協力いただいた多くの古本屋の方々にも......。
 最後に、青弓社の矢野恵二氏には、私の読みにくい手書きも含めた原稿を読んで出版の決断をしていただき、本造りの過程でもいろいろお世話になった。感謝 に堪えない。やはり出版というのは、著者と編集者のよき出会いがあってこそ成り立つのだということをあらためて感じた。
 本書が本を愛する人々の、何かの参考になればまことに幸いである。
二〇〇二年三月十日
                  高橋輝次

著者高橋輝次さんの本はどれをとっても面白い。『誤植読本』はおそれれれているという。さもありなん。