[NO.341] 続・詩歌の待ち伏せ

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続・詩歌の待ち伏せ
北村薫
文藝春秋
2005年4月15日 第1刷

 『詩歌の待ち伏せ』におとらず、こちらも読ませます。まるで「詩歌をめぐる冒険」です。北村氏がインタビューに答えて、このシリーズには力を入れているような発言の記憶がありますが、これならなるほどど思えました。

 文体が参考になります。いわゆる常態で書かれているのですが、魅力的に思われました。一つのことを述べるのに、どこから切り込んで、伏線をどう張って と、読者の視点を考慮しつつ書れた文章は、思わず引き込まれます。さらに、読後感がいいのです。練られている文章というのはこういうのでしょう。

 材料を提示するのに、順番を意図的に入れ替えてみたり。これは推理小説の作家であれば、当然のことなのでしょうが、振り返ってみるに、書き物の基本でもある わけで、再読に耐える文章などといっては失礼かもしれません。これが文章表現の当たり前な形です、といわれそうですね。

 読んでみたい! と思った本が数冊ありました。これこそが、著者のねらいでしょうから。まずは、「旅商人の妻のうた」李白/奥平卓訳を読むために、『中国の古典文学』(さ・え・ら書房)の『唐代の詩』(奥平卓訳)あたりからでしょうか。