明治がらくた博覧会 林丈二 晶文社 2000年9月10日 初版 |
第一章
腕時計/手帳/ペン先/遊戯盤/口風琴/眼鏡/貨幣
第二章
缶切/釜/氷/茶/水呑/蜜柑
第三章
枕/座布団/朝顔/バケツ/束子/洗濯
第四章
病用具/甘い薬/目薬/歯用具/亜鈴/体量計
第五章
達磨/ビリケン/キューピー/象の像/尋ね鳥/地口行灯
第六章
電信柱/梯/旗/錠前/沓刷
第七章
展望塔/飛行器/風船/手漕船/ブランコ/滑り台
p180
◆おわりに――タイムマシン「明治」製作中
私の日課は、明治の新聞のデータをパソコンに次から次へと打ち込むことです。
主に本書で取り上げたような「物」が多いのが特徴で、明治関係の書物のデータ、明治時代に書かれた小説や日記の細部なども入れています。これは趣味でも あり道楽ですから、仕事とは別に、少なくとも一日に三〇から五〇件。多くても一〇〇件といったところでしょうか。
そこで目下の楽しみは、明治時代の東京に戻れる「タイムマシン」のようなものを作ることです。
たとえば、明治一八(一八八五)年五月四日の銀座四丁目の交差点あたりはどうだったのかと検索すると、今の三越デパートのある所は「絵入朝野新聞社」と いう新聞社で、建物前の掲示板に張り出してあった新聞を読んでいた人の煙草入れをすったスリが気づかれて追われ、今もある交番の巡査に捕まっています。
その当時の絵入朝野新聞社の写真もありますし、当時の交番の挿絵もありますから、何となくその様子がわかるという具合です。マアその程度のタイムマシン ですが、当時の地図や店の様子、人々の服装や髪型の変遷など、そういったことを小まめに入れていくと、かなり自由に明治の東京へタイムトリップできるとい うわけです。
もちろん、これを江戸時代や、大正、昭和、平成と広げていけばより楽しいものになるのでしょうが、私がやれるのは明治時代の、それも私が関心ある場所や、物事だけですから、かなり偏った世界になることは目に見えています。
しかし、来たるべき「明治の終焉百年」である二〇二年までには、私好みの「明治の東京」に行ける「タイムマシンもどき」ぐらいは作っておきたいと思います。
そのスタートをした頃の「サライ」 の「閑古堂シリーズ」 の担当者であった藤田健彦氏、この本を世の中に出すことに尽力してもらった斉藤典貴氏、図版 の多い面倒な本文のデザインをしてもらった馬場紅子さん、いつものように楽しい装帳は南伸坊氏、その他の関係者の皆さんに感謝します。
二〇〇〇年七月末日の暑い夜
林 丈二
このような発想のタイムマシンという手があったのですね。
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