[NO.068] 古本屋 月の輪書林

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古本屋 月の輪書林
高橋 徹
晶文社
1998年6月30日初版

 本の雑誌を愛読していた頃、こちらのお店について興味を引かれた記憶があります。こうして読んでみると、その当時よくわからなかったことなども納得しま した。文章自体は書き慣れていないためか、読みにくいところがあっても、勢いで読まされてしまいます。元気あふれる著者の仕事へかける熱い意気込みで押し きられてしまった気も。その点でNO62「プラネタリウムを作りました」に近い感じがしました。
 店頭販売をしない古本屋さんの仕事が、具体的に理解できます。もっとも、この本の(月の輪書林さんの)特徴である「目録」作成が、なんといっても白眉で しょう。ひとつの事柄から四方八方へと広がってゆく様子は、研究者の手法に近い。書誌学者。好きなことを熱中してしている少年です。安田武、古河三樹松、 竹中労、それぞれの人から関連する本をピックアップして、目録の本ががそれぞれ万の単位になるというのですから、その打ち込みようたるや想像を絶します。 この3名の関連の薄さ、脈絡のなさというのも面白いものです。
 好きなことを仕事にしてしまった著者の熱気が伝わります。幸せそうな日々の記録でした。