[NO.1667] 名探偵登場!

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名探偵登場!
(著者) 筒井康隆、町田康、津村記久子、木内昇、藤野可織、片岡義男、青木淳悟、海猫沢めろん、辻真先、谷崎由依、稲葉真弓、長野まゆみ、松浦寿輝
講談社
2014年04月22日 第1刷発行
326頁

出版社サイトから引用 リンク、こちら

名探偵とは何者か?

洋の東西を問わず、読者の心をとらえて離さない名探偵の魅力とは? それが推理小説最大の謎!

帆村荘六、半七、フェリシティ、明智小五郎、鬼平、三毛猫ホームズ、金田一耕助、ミス・マープル......。誰もが大好きな名探偵たちが、現代文学の名手13名の筆によって新たな息を吹き込まれた。古今東西の難事件が解決されるばかりではなく、ミステリーのあらゆる楽しみ方を存分に堪能できるアンソロジー。

豪華執筆陣による夢の競演!

ミステリーの定義からは、はずれると言われればそうかもしれない。でもねえ、「名探偵登場!」というタイトルは(どの作品も)裏切らなかったかな。パロディーとしての「アンソロジー」ですよね。どちらかといえばクスッと笑わせてもらえるアンソロジー。
元ネタをどうひねったか、各作家による腕の見せどころを堪能すべし。NHKのEテレでいうところのハマったさん、マニアが喜ぶアンソロジー。

映画『名探偵登場』を思い浮かべて、本書を手にしたのなら、それでいいのでは?

巻末、解説 名探偵の登場が推理小説を生んだ 中条省平 を小説より先に読んでしまうと(一定数、そういう読者がいるはずですね)、納得しそう。

『探偵小説の哲学 (叢書・ウニベルシタス 811)』(ジークフリート・クラカウアー著、2005年刊)を紹介していることで、すでに衒学的。

初出「群像」2013年12月号 

出版社サイトに詳細な紹介ページがあります。リンク、こちら

なんとも贅沢な号です。

雑誌連載時と順序を入れ替えたところがあります。比較すると面白し。

【雑誌掲載時】
〈特集 名探偵登場〉
捕まえて、鬼平!~鬼平「風説」犯科帳~  青木淳悟
ふくろうたち  稲葉真弓
三毛猫は電気鼠の夢を見るか  海猫沢めろん
音譜五つの春だった  片岡義男
遠眼鏡  木内 昇
a yellow room  谷崎由依
銀座某重大事件  辻 真先
科学探偵帆村  筒井康隆
フェリシティの面接  津村記久子
ぼくの大伯母さん  長野まゆみ
わたしとVと刑事C  藤野可織
文久二年閏八月の怪異  町田 康
四人目の男  松浦寿輝

【本書目次】
「科学探偵帆村」 筒井康隆 7
「文久二年閏八月の怪異」 町田康 29
「フェリシティの面接」 津村記久子 65
「遠眼鏡」木内昇 83
「わたしとVと刑事C」 藤野可織 99
「音譜五つの春だった」 片岡義男 117
「捕まえて、鬼平!~『風説』犯科帳~」 青木淳悟 143
「三毛猫は電氣鼠の夢を見るか」 海猫沢めろん 165
「銀座某重大事件」 辻真先 194
「a yellow room」 谷崎由依 219
「ふくろうたち」 稲葉真弓 241
「ぼくの大伯母さん」 長野まゆみ 263
「四人目の男」 松浦寿輝 291
解説 名探偵の登場が推理小説を生んだ 中条省平 317

【どうでもいいはなし】
短篇小説なので、どこから読んでもいいだろうと、「ぼくの大伯母さん」長野まゆみ を最初に読んだところ、無性に ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』を読みたくなって、散らかった本類のために発掘できず、Kindle版光文社古典新訳文庫で読みました。お約束のごとくに1巻の途中で中断中。

おまけに ガストン・ルルー『黄色い部屋の秘密』 にまで手を出してしまいました。

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黄色い部屋の謎/創元推理文庫Mル21
ガストン・ルルー
宮崎嶺雄 訳
東京創元社
1965年06月21日 初版
1997年08月08日 68版
386頁

最後に、面白かったのはどれかと問われたなら、全部としか答えようない。味わいが違うのですから。そりゃ好悪はあるにはあっても、気分でその都度変わってしまい......。

どれもが読みやすい、軽い読み物。