[NO.1405] 山猫珈琲 下巻

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山猫珈琲 下巻
湊かなえ
双葉社
2017年1月29日 第1刷発行

湊かなえ氏の本は小説も含めて初読。帯によれば「デビュー10周年 初エッセイ集!」とのこと。

執筆の様子を含めた近況報告もあるが、デビューまでのあれこれを詳しく書いてある。著者についての知識は本屋大賞をとっている、イヤミスと呼ばれているということくらいしかなかった。主婦でデビューしたとか、地方在住であることなど、今回初めて知る。

なんといってもエネルギーがすごい。施術的なものは後からの努力で補う(そうは書いていないが)もの。最初は雑誌『公募ガイド』を購入し、川柳で3000円もらったことだという。その後の顛末も面白し。

子供の頃からの読書傾向が飛び抜けたものだったわけでもなさそう。マニアックなミステリーファンでもなかった様子。クリスティの名前しか出てこない。社会人になってからとして有川浩。むしろ体育会風、行動的。高校時代の剣道に打ち込んだ話と青年海外協力隊参加が印象強い。大学時代はサイクリング同好会に入り、全国ツーリング。現在も登山をしているとのこと。鼻血を出しながら書いた原動力はこのあたりにありそう。物語をとにかく書くことがポイントだった。

ただし、物語を空想することが好きだったという。そして思い込みが激しそう。青年海外協力隊参加でトンガへ向かったのも、子供の頃に家に貼ってあった世界地図で見知っていた島だったとのこと。森村桂『天国に一番近い島』が出てきたのには驚いた。懐かしい。ミステリーとの開きが大きい。

普通のノートPCで書いているという。そりゃあ、肩も背中も凝るでしょう。せめてキーボードだけでも、外付けにすれば......。編集者等からアドバイスもあるだろうに。

おやっと思ったことの一つにノートPCを表記するのに「ノート型パソコン」とある。校正の手が入っているのかな。脚本と小説の執筆するときの違いについても面白し。描写、視点の違い、具体的だった。