[NO.1353] 浮き世のことは笑うよりほかなし

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浮き世のことは笑うよりほかなし
山本夏彦
講談社
2009年3月26日 第1刷発行

目次から

「旦那」はいなくなりましたなあ/白崎秀雄
麹町むかしがたり/大熊喜英
誰も聞いてくれない地震の話/清水幾太郎
テレビの中のインテリア/向田邦子
何でも描けなきゃ絵かきじゃない/安野光雅
おしん寺子屋火事けんか/小木新造
どっちがエライか住宅とビル/石山修武
六年牢屋にいれられて/安部譲治
乱歩・東京・2DK/松山巌
職人になればよかった/安藤忠雄
三十五年めの新・韓国事情/関川夏央
広告ほど面白いものはない/天野祐吉
時代遅れの日本男児/藤原正彦
何とかならぬかマニュアルの日本語/盛田昭夫
本と本でないものを決める人/出久根達郎
ハウスメーカー逆襲す/古河久純
今どきこんな建築家がいるとは/池部良

著者による雑誌『室内』に掲載された対談集。エッセイよりも、対談の方が面白いかもしれない。こうして相手のラインナップを眺めてみれば、どれも壮観である。今や鬼籍に入られたかたも多い。
基本は建築関連ではあっても、いかんせん山本夏彦だから、話の内容はあっちへいったりこっちへとんだり。しいて統一テーマと言えないこともないのが「昔」のことであろう。何が面白いかって、具体的なエピソードの数々がたまらない。主張していることは、あくまでも限られているのに。職人の時代が良かった。江戸時代に洗練された文化があったのに、脱亜入欧によりダメになった。日本の建築はいったいどこに向かったのか。

読み終わるのが惜しかった。なにしろ新刊が出ることはあり得ないのだから。