[NO.1317] 白河天体観測所

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白河天体観測所
藤井旭
誠文堂新光社
2015年10月15日 発行

タイトルを見て、懐かしさでいっぱいになった。実際には白河天体観測所へ行ったことはない。しかし、本書で紹介されているチロの星祭り「星空への招待」へは一度だけ参加したことがある。1981年、吾妻山に3人で出かけてテントを張り、2泊した記憶がある。日差しが強くなりテントから顔を出すと、すぐ脇には観光バスの巨大な車体が見え、窓からみんながこちらを不思議そうに見下ろしていた、などということもあった。暗闇の中、疲れて眠ったのが大型バスの駐車場だったのだ。確か、お菓子や飲み物をもらったような。

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このころには、天文現象に合わせた日程で招待席が設けられることになっており、この日も食分六十六パーセントのわりと深く欠ける部分日食が会場で見られることになっていました。
台風が西日本に接近中というのに、会場は一日中ぬけるような青空で、集まった千二百人の天文ファンたちは、日食の進行に歓声を上げ、欠け細っていく太陽の観測に夢中でした。

このとき、日食の進行に歓声を上げた一人に加わっていたはず。その後、十数年経ってから、知り合った天文ファンと話をしていると、偶然にもこの日食を同じ場所で見ていたという話題が出て、盛り上がったことがあった。

思えば、この夏が終わって、チロは亡くなっていた。あれから幾星霜、星空を見上げることも少なくなってしまった。