[NO.1313] 八月の六日間

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八月の六日間
北村薫
角川書店
2014年5月30日 初版発行

北村薫についての連続読書続行中です。今回の素材は山ガール。取材をしたのでしょうか。主人公の職業は文学雑誌編集者です。これは作者の身近な存在なだけにエピソードなども入手しやすそう。

予備知識なしで読んだので、女性の登山がメインの小説とは驚きました。

巻末、注意書きのような文章が目を引きます。要するに、この小説を参考に気軽に初心者が登山をしては危険ですよ、という内容。くわばらくわばら。

自分のような門外漢の想像であっても、本作の主人公のとった行動は危険であると思えます。変な言い方ですが、怪我や遭難をしなかったことで、さすが小説だなと思う場面がいくつかありました。過度の疲労や注意不足等、これで単独行か? とあきれるところとか。

子どもに与える注意と変わらないことに驚きました。工事現場などで目にする但し書き、「この中に入ると危険です。入らないでください。」ペコリ、みたい。本当に本書を参考に、槍だの穂高だのへ繰り出すビギナーがいるのかな。いるのだろうなあ。

率直な感想として、険しい山への単独行よりも、ツアーで行った裏磐梯での雪歩きが一番ゆったりと安心して読めました。そこで紹介されていた、何にもしない雪の中でのキャンプ、もしあれば参加してみたい。登山口近くにテントを張って、本を読んだりゴロゴロしたり。いいなあ。