[NO.1304] 先生と私

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先生と私
佐藤優
幻冬舎
2014年1月25日 第1刷発行

読みやすい文章だった。読者としての対象年齢が十代前半のよう。むしろ、こう言った方がいいかもしれない。まるで、登場人物が日記を書いたような文章だと。

いや、ここに描かれた少年が読んでいる本の方が、遙かに知的に高度であろう。

相変わらずといっていいのかわからないが、手前味噌に感じられるところが多い気がする。明け方4時ころまで毎日勉強し、浦和高校合格後の春休みには一人で北海道旅行へ。旅先で出会った学生から、「中学生が一人旅なの?」と聞かれ、さらに「あの浦和高校へ合格したの?」と続けられるやりとり。

両親が「優君」と、息子を君付けで呼ぶことに、そしてそのことをそのまま描写したことにも驚いた。中学卒業時に北海道旅行。高1の夏休みにはソ連と東ヨーロッパへ行くための旅費を全額出してもくれるのだ。

タイトルにもあるように15歳までに出会った先生との交流を綴ったもの。ただし、学校の教員ではなく、塾の先生というところが眼目である。日記等も参照したのだろうが、記憶力がいい。笑ってしまったところに、受験勉強は暗記だったという説明があった。数学も暗記ものだったという。なるほど。

特に本を読ませて、要約や感想を書かせる教員を好きだったという。その本がませている。......っと、ここで思い出した。竹信悦夫のことを。小学生時代からすでに灘中文芸部へ出入りし、中学で書いた詩「トロイヤ戦争犯罪人」を寺山修司が絶賛したという、早熟の典型だった少年である。。埴谷雄高、吉本隆明、谷川雁は中2だったとも。そうすると、余計に勝少年としては、出遅れ感を抱くのだろうか。