[NO.1235] ルポ 電子書籍大国アメリカ

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ルポ 電子書籍大国アメリカ/アスキー新書164
大原ケイ
アスキー・メディアワークス
2010年9月10日 初版発行

もっとネットやPCのハード面について書かれているかと思いきや、純粋に電子書籍のソフト面だけに絞った内容だった。それはそれで予想外だったけれども、思いのほか面白かったのでよろし。

ここではアメリカの電子書籍購買層を紹介している。それまで値段の安いペーパーバックで購入していた読者層が、紙の本よりさらに低価格で次々と出版される電子書籍へと流れたのだという。たとえばロマンス小説を読む女性読者層やコアなSF小説を読む男性読者層。うーむ。

それまで大量に購入していたペーパーバック代金のことを考えれば、キンドルなどハード面での価格を支払ってでも元手がとれるのだとも。

 ※  ※

ソフト面からの考察では、やはりアマゾンの存在が大きいということなんだろう。日本の小売り書店が潰れた原因として(郊外型大型書店の進出は別として)、アマゾンによる流通革命のことがいわれ続けてきた。それに加えて電子本をアマゾンは日本でどう展開しようとしているのか。

著者は私論としてつぎのように述べている。

p079
アマゾンは辛抱強く、日本の再販売価格維持制度が崩れるのと、出版社が電子版権をめぐって折り合いをつけるのを待っているのではないだろうか。