飲めば都 北村薫 新潮社 2011年5月20日 発行 |
初出は「小説新潮」2009年1月号~不定期で2011年4月号まで。
ミステリーとはまったく異なるユーモア小説。北村薫氏、こういうほのぼの系だけで1冊というのもいい。
それにしても北村氏の酒とのつきあいは、本当のところどれくらいなのだろう? ここに描かれた酒飲みについて、いや酔った人物からの視点には、ご自身の実体験がどれだけ使われているのかな。
古来、酒飲みの残した逸話というのは星の数ほどある。そうしたエピソードは、いわゆる下戸の書き手にでも表現することはできる。けれども、「飲み過ぎた酔っぱらいが帰宅するまで」を描こうとすると、自ずと自身の体験が出てこざるを得ないんじゃないだろうか。もちろん、まったく飲めない作家であっても、それは可能ではある。(なにしろ、男性である作家によって描かれた女性の主人公が本作なのだから)。作家、北村薫氏って、酒の上でのエピソードが漏れ伝わってこないだけに、下世話な興味がわいてくる。
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