80年代、「冒険小説」というジャンルが流行ったときに読んだ記憶あり。のっけからネタバレで言ってしまえば、ジャーナリストである主人公が執拗に元ナチスの残党を追い求める理由として、それは御法度だろうというのが評判だった。
ヨーロッパを移動するところが、ちょっとギャビン・ライアルの『深夜プラス1』に似ている。惜しむらくは説明が舌っ足らずのところがいくつかあったこと。もっとも、劇場公開版をTV放映するにあたってカットしているような気がする。
それにしても、のんびりとした時代だったものだ。電話の盗聴もない。ネットによる陰謀ももちろんない。考えてみれば、こうした物語の設定においてその後、携帯電話等の電子機器が普及したことは良かったのか悪かったのか。
サスペンスとはいえ、映画を見ていて平坦な印象が残る。山場の盛り上がりも、アクション場面もいまひとつぱっとしない。しかし、第2次世界大戦が終えても、まだその尾を引いていたという時代設定なので、こんなものなのだろうか。生活スタイルが戦前と地続きなのだ。
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