悠悠おもちゃライフ/講談社文庫 森博嗣 講談社 2007年7月13日 第1刷発行 |
幸せ一杯夢一杯な本。FAN待望の一冊。もっとも鉄道ファンではないし、ましてや人形や縫いぐるみにも興味がない身にとっては飛行機の写真がもっと多ければよかったのに。
Mシリーズには奥様であるスバル氏に見せるために最初の小説を書いたとあったのに、ここでは娘さんに読ませるためとあります。こっちの方が本当みたい。
左の写真は中学生のときに作った短波受信機とアンプ。手書きの書き込みがある。JH2WXF って、もしかして。
p213
(略)趣味とは、そもそも1人だけで楽しむものだ。これが基本である。
(途中略)もちろん、同好の士と語り合うのも楽しい時間である。けれど、初心者のうちにいきなりクラブへ入るのは、あまり適切ではない、と僕は考えている。初心者の方が教えてもらうことが多いのだから、最初にちゃんと習った方が良い、とよく耳にするけれど、それとはまったく逆の考えだ。
習う必要などないのが趣味である。最初は、自分一人でああでもないこうでもないと苦労をすること、それ自体が楽しい。そこが一番楽しいといっても過言ではない。初めて飛行機を飛ばした日や、初めて機関車に火を入れた日は、今でもよく覚えている。あんなにどきどきしたことはなかっただろう。だから、1人で長く楽しんだあと、多少マンネリを感じた頃にクラブに入会するのは1つの道かもしれない、というのが僕の意見だ。
蓋し名言。
あんなにどきどきしたことはなかっただろう
こういう卓見に出会えることが、森氏のエッセーを読んでいて嬉しいところ。そういえば、どきどきするような楽しみに出会えることが少なくなったなあ。
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