南方熊楠 菌類図譜 解説 萩原博光 編集 ワタリウム美術館 新潮社 2007年9月25日 発行 |
採集したきのこを、画用紙に細密に描写し、彩色、生態を英文で記録し、胞子や、時には乾燥させた現物までも貼り付けた博物図譜――鬼才にして奇人、世界にその名を知られた博物学者が、熊野の森で後半生の40年間を費やして描いたライフワーク数千枚から120枚を厳選。これぞ、クマグスの「きのこワールド」。出版社サイトの紹介 リンク、こちら
実に大部の本。荒俣宏さんが収集した博物誌関連の図鑑類を彷彿とさせられました。じっと見ていると、執拗に細部まで描かれた様子が手に取るようにわかります。こうして鮮明なものを見せられると、熊楠の溢れ出るエネルギーに驚愕します。
絵のあいまから見える、台紙に貼られた古い英字新聞が興味深く思えてきます。おそらく、南方熊楠が自分の手で採集したとき、ロンドンのものでしょうか。そのときのままに、こうして冷凍保存のように現在まで時間旅行してきたに違いありません。なんだかすごい。
本書に掲載した菌類図譜は、すべて独立行政法人国立科学博物館所蔵のものです。
図譜スキャニング:岩崎 仁
本書は、2007年10月6日(土)~2008年2月3日(日)、ワタリウム美術館において開催した展覧会「クマグスの森展 南方熊楠の見た宇宙」を記念し出版された。
ブックデザイン:新潮社装幀室
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