[NO.524] 超芸術 Art in Action/前衛美術家たちの足跡

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超芸術 Art in Action/前衛美術家たちの足跡1963-1969
平田実
三五館
2005年3月19日 初版発行

第一部 とび出したアート
 小野洋子、赤瀬川原平、篠原有司男、中西夏之、刀根康尚、中村宏、谷川晃一、加藤好弘、高松次郎(故)
第二部 彼ら2005年のプロフィール


 彼らの活動を記録した写真集のような本。もちろん全編モノクロ写真。ハイレッド・センター、ネオ・ダダ展、読売アンデパンダン展等々、彼らの若き写真ばかり。
 興味がある人には、いい資料。

まえがき
1960年代はじめ頃から、日本の美術界では既成の芸術表現にあきたらず、強烈な個性を持った若い美術家たちがユニークな前衛的美術活動(行動するアー ト=アート・イン・アクション、パフォーマンス、ハプニング、イベント等)により、美術界のみならず一般社会の面前に飛び出して注目を集めていった。
 それは、日本におけるフルクサス活動(日常生活の中に芸術を見つけようという趣旨で、パフォーマンス等を中心とした欧米美術家のグループ活動 /1960~1970年代)の波を実感させ、アートの新しい地平を創造・実践しようとする青年美術家たちのパワー溢れる行為と作品の数々であった。
 本写真集に登場するその若き美術家群、および周辺人物像は――高松次郎・赤瀬川原平・中西夏之(ハイレッド・センター)、小野洋子、篠原有司男、刀根康 尚、風倉匠、中村宏、立石紘一、谷川晃一、パイク・ナム・ジュン(白南準)、秋山福徳、加藤好弘(ゼロ次元)、岩田信市、木下新、和泉達、桜井孝身等の諸 氏。そして周辺美術家・評論家の、岡本太郎、ジャスパー・ジョーンズ、サム・フランシス、中原裕介、大岡信、滝口修造、武満徹、宮田国男等の諸氏である。
 この1960年代、日本は安保闘争を横目に、東京オリンピックを皮切りに新幹線の開通等、列島改造論と共に高度経済成長期まっただ中の社会状況であっ た。そして、70年代に入れば開発促進の象徴・大阪万博の開幕、進む環境破壊、70年安保闘争。外ではベトナム戦の泥沼化......。まさに1960年代は日本 社会の大きな曲がり角、変貌への入り口でもあった。
 本写真集作品は、これら1960年代(1963年~1969年)における若き前衛美術家たちの活動ぶり、およびそれらを取り巻く背景と周辺状況をカメラの目で捉えたもの。
 しかし、約40年前に記録・撮影した写真作品のネガ全部を網羅・収集することは、出版社からの不返却、紛失等の理由で不可能になったので、今回は手元に現存する撮影ネガだけのオリジナル・プリント集大成(約80点)である。
 尚、登場する60年代作家のうち、小野洋子、赤瀬川原平、中西夏之、篠原有司男、谷川晃一、中村宏、刀根康尚、加藤好弘氏等については、現時点(2004年11月~12月現在)でのプロフィールを特撮、椙介させていただいた。
 今回の写真集を制作・構成するにあたり、「時」の唯一完壁な記録媒体である「カメラ」の存在価値の重さと、「写真」の持つ意味の大きさを、あらためて痛切に感ずるものである。
                  2005年3月吉日
                       平田 実