日本の美術9 No.436 古写本の姿 藤本孝一 至文堂 2002年9月15日 発行 |
監修
東京国立博物館/京都国立博物館/奈良国立博物館/東京文化財研究所/奈良文化財研究所
西洋の書物とは比較の基準が異なりますが、和装本の美しい写真が目白押し。用紙自体が模様入りになっており、文字の美しさも素晴らしいものばかりです。冷泉家時雨亭文庫所蔵の品々ばかり。
「古写本の見方・取扱い」として、ヘラを用いることが説明されていました。本を開くために使用するのだそうです。「表具の道具である竹ヘラ、糊で重ね合わせた料紙をはがしたり、一枚の紙を二枚にする相批(あいへ)ぎに用いる竹ヘラの、使いがってのよい大きさのものを分けてもらい、それで丁を開けている。」と説明があります。
興味深かったのは、「河内本系統の平瀬家本源氏物語(重要文化財)を文化庁が購入し、倹飩の書籍箱が運び込まれて中を点検した折、「アケルヘラ」と上書きした紙に包まれた竹ヘラが出てきた。江戸時代の人も筆者と同じような考えをしていたと、感慨を深くした覚えがある。」という記述。
p27
書法
書体と適用
漢字には真・行・草の書体がある。真書は楷書で、一画一画を崩さない字体である。楷書をくずしたのが行書で、さらにくずした字体が草書である。
正確に、誰でもわかるのが真書である。律令でも公式令公文条に「凡公文。悉作真書。凡是簿帳。科罪。計臓。過所。抄【片+旁】之類。有数者、為大字」と あり、「公文は、悉くに真書に作れ」さらに「数は大字につくれ」とある。公文書は真書(楷書)を用いよと規定する。大字は漢数字で、一から十を「壹貳参肆伍陸漆捌玖拾」とする書き方である。個人的な消息・書状類は行草で書く。
旧字体で書かれた漢数字!
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