[NO.299] 戦後文壇畸人列伝

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戦後文壇畸人列伝
石田健夫
藤原書店
2002年1月30日 初版第1刷発行

 以下の方々に関しての文章が中心ですが、写真も併せて掲載されています。
埴谷雄高、福田恆存、広津和郎、深沢七郎、阿部公房、中野重治、稲垣足穂、吉行淳之介、保田與十郎、大岡昇平、中村真一郎、野間宏

 著者は昭和3年生まれ、元東京新聞文化部長。巻末に詳細なる関連年譜。
 巻頭に掲げられた「プロローグ 高揚と酩酊――ヒロポンとカストリ 荒正人、織田作之助、坂口安吾」に引きつけられました。以下引用

p8
「ええ、敗戦によって僕らに与えられた可能性の中に"第二の青春"を見たんです。四百字詰め原稿用紙で五十枚ぐらいになったでしょうか、久喜町の蔵の二階で、 ヒロポンをかじりながら二晩徹夜して書き上げました。たしかに、いま考えるとオクターブが高いけれど、あのころは、みな高かったですよ」
 きちょうめんで謹厳と知られた荒正人ではあるが、生前、懐かしげな表情でこう語ったものである。
 敗戦――しばしの虚脱があった。間なしに、精神の高揚と酩酊がやってきた、ヒロポンとカストリを従えて。